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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】あい:高田郁

 

 

あい:高田郁著のレビューです。

あい―永遠に在り (時代小説文庫)

あい―永遠に在り (時代小説文庫)

 

 

 互いに深く思いやり、支え合って生きる夫婦から、人はいろいろなことを感じ 教えられことが多いだろう。

 

高田郁さんの描く女性たちは何かしら共通の健気さがあると思う。
この小説を読み始めてすぐに「あぁ、この感じに見覚えが…」と、そのひたむきさを懐かしく思い、一気に主人公「あい」に惹き込まれて行きました。

 

 

 

本書は

・「あい」という一人の男性を支えた女性の一生
・関寛斎とあいの夫婦模様
・銚子・徳島・北海道での暮らし

という、3つの内容がぎゅっと詰まっていて、どの角度から読んでも充分読者を楽しませてくれます。

 

農家出身でありながら医師になった関寛斎。
徳島藩医、軍医を経て、73歳の時に思い切った決断をする。
それは北海道・斗満の開拓を志すという、今までと180度違う世界への転向だった。

 

そんな寛斎との出会いからこの世を去るまで、一貫して夫を尊敬し、寄り添い、強く支えた妻のあい。

 

潮風に紛れて醤油の芳ばしい匂いが漂う銚子の荒野村での生活。阿波徳島へ向かう船が沈没し家裁道具を全て失い一から生活を立て直した日々。凶作で食べるものに苦労した時期。また、二人の間に生まれた子供がたびたび亡くなる不幸など、ライフステージにおけるさまざまな困難にぶつかりながらも、あいは前を向き、そして寛斎は信念を貫き自分のやるべきことを全うしてゆく。

 

寛斎をサポートした濱口梧陵、母の年子など、夫婦の周りでサポートしている人々も非常に魅力的な人物が多いのも気持ちがよい。

 

互いに思いやり、支え合って生きる夫婦から、人はいろいろなことを感じ、教えられことが多いだろう。それはラストに向かえば向かうほど強く感じるはずです。

 

厳しい生活でありながらも、深い愛情があちこちに込められていて、読後の充実感は高田さんの作品ならではあった。

 

こういった形で今の日本の土台を築いた歴史上の人物とその家族を知れたことを嬉しく思います。「みをつくし」シリーズがまだの方。この作品から入るのも悪くないと思いますよ。