老後の資金がありません:垣谷美雨著のレビューです。
◆結局、老後の資金はいくら必要なんだ??
結局、老後っていくら蓄えがあれば安心した生活が送れるのだろう?
この小説を読めば何かいいヒントが得られるだろうか?と思い手にした。
結論から言えばあくまでも小説であった。
ハウツゥ本ではないので具体的なことは書かれてはいない。
主人公は50代のパート兼業の主婦。
子供は二人居て、娘は近々結婚、息子は就職して家を出る。
子育てがほぼ終了し夫と二人暮らしになる予定だったが・・・。
娘の派手婚の資金、親の葬式代等々出費がかさみ、
この時期にきて貯金があっと言う間に底をつく。
そこに来て、夫のリストラ、妻までもパート切りにという
夫婦ともども職を失うという凄まじい展開へ。
頼みの綱であった退職金までも消えてしまう。
夫の親への仕送りが月9万。もう払える状態ではないことを
渋々告げ、義母との同居生活を開始する。
一方、いいとこに嫁に行った娘が夫からDVを受けているのでは
ないかという疑惑も浮上。
・・・と言った具合に、問題が山積みの家族。
本書の面白さは会話が妙にリアルであること。
個々の発言がいかにもありそうーと感じさせられるシーンも多く
イライラ、ムカムカと感情を揺さぶられます。
また意外にも姑が家計のために一肌脱いでくれるのだが、
それが年金詐欺の片棒を担ぐものであったりと、
「ちょっとそれはやりすぎじゃね?」感もあるけれど、
現代社会の問題をきっちり組み込んできている。
最終的にはどの問題もうまい具合にパタパタと収まっていく。
しかし、夫の再就職は決まったものの老後の資金問題は
解決したわけでもない。明るい雰囲気で終わってはいるけれど、
不安が解消されたわけじゃないんだよなーと深いため息が
思わず出てしまった。
なんとかなるさ・・・
という精神を養わなければ、やっぱり老後の不安は拭えないなーと、
現実問題に戻り、後ろ向きな読後感をズルズル引きずっています(笑)
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