笑う赤おに:雀野 日名子著のレビューです。
安易に人を見た目だけで判断していませんか?
人の思い込みや偏見からくる誤解は、つくづく怖しいものに育っていくものだなぁと感じた小説であった。自分が被害者だったと思い込んでいたら実は加害者でもあった...なんてことがもしあったら、それは取り返しがつかない過ちになり得る。
「いたわりと見守りの街づくり」推進している町に住む人々。現在我々の生活にのしかかる様々な社会問題がこの町でも起きている。ママ友のいじめや嫁姑問題から、生活保護、不正受給、介護、ニート、ネット社会等々、ありとあらゆる問題が次々目の前に登場し、後半までは話があっちこっちに行き、
正直読みにい。どこに焦点を当てていいのやら・・・と戸惑う。私は依子という主婦に的を絞り読むことにしました。
彼女には小二の娘がいる。ある日、彼女は娘の学校の帰りを尾行すると、娘は友達と一緒にゲームセンターへ寄り道をしていた。そこで怪しい男と一緒に遊んでいる現場を目撃してしまう。しかも娘は帰宅後の様子がおかしく、その男に何かされたようで泣いている。
夫、姑に話しても相手にされない依子は相談する場をネットの掲示板を選び、そこで人々のアドバイスや情報を拾い、それをもとに自分も動き始める。そして、以前起きた殺人事件との関連性が娘にもあるのではないかと話は進んでいく。
・・・という軸になる話とともに、様々な社会問題が積み重っていく流れになるのだが、最後に来て一通の手紙が登場する。
その長い手紙は、今まで私たちが見ていた世界が一気に反転してしまうような事実が明かされる。そうだったのか・・・と、胸がキリキリするような内容に切なさとやり切れない感情が押し寄せる。
ネタバレになるので内容はかなり割愛しているが、社会的立場からくる偏見とか、情報を鵜呑みにする怖さなど、本書を通じてまざまざと感じさせられました。
彼女、彼らが発した言葉や態度。その時に奇異に感じられたものの裏にはどんな意味があるのか?彼らはどんな経験を経て今の生活に至っているのか?安易に人を見た目だけで判断していないか?等々・・・考えさせられる内容であった。
というのも、後半部分があったからこそ。本作は最後にすべてが集約されており、前半はあれこれ山盛りで、なかなか集中できない感じでした。
恐らく筆者はたくさんの取材を重ね、たくさんの問題を目の当たりされたのでしょう。それゆえ、書きたいこともたくさんあったのではないでしょうか。しかしながら、もう少し話題を絞ったほうが、もっと奥深い作品になるのではないかな~と我儘な読者としては言ってみたりします。





