恐怖への招待:楳図かずお著のレビューです。
◆この装丁画に思わず手にし、そして楳図ワールドにあっと言う間に
惹き込まれちゃいました
以前、取材本を読んでいて楳図さんは、外見は個性的だけど
案外普通なんだなぁーという印象が残った。
こういう怖い本ばかり書かれているのでどこか浮世離れした
方なのかなと勝手に思い込んでいましたが。
子供時代、私は楳図さんの大ファンで、少女コミックの合間に
必ず楳図さんの少々「毒っけ」のある漫画を欲し読むことを
習慣としていました。
自分のホラーや怖いもの好きの原点はひょっとして楳図さんから?
なんて思ったりもします。
少女マンがと違い、黒い部分が圧倒的に多い楳図さんの絵は、
いつも地下室や闇夜の世界に連れていかれる気分になったものです。
主人公たちには笑顔はあまりなく、いつも恐怖に怯えている
目をしている感じなど、子供の好奇心をしっかりキャッチする
要素がたくさんありました。
子供向けとは言え内容的には容赦なく、子供のくせに
「自分、本格的なホラー漫画を読んでいます」といった気分に
なっていた気がします。
もう、どの作品を読んだか、すっかり忘れてしまっていますが、
本書には「Rojin」という作品が収められています。
ひと作品だけだったけど、「わぁー懐かしい~この感じ」と
ゾワゾワした気分が蘇ってきます。
大人が読んでも全然イケる。
むしろ、今だからこそ見える恐ろしい部分があり内容的にとても深い。
本書は楳図さんの見ている「恐怖」についてがたっぷり語られている。
楳図さんの子供時代の話や作品のルーツなどを含め、作品ノートを
写真掲載し、どのように作品が出来上がって行ったのかの工程も
見ることが出来ます。
楳図さんご自身、子供漫画家ということで、さぞかし子供好き
なのかと思いきや、「あまりたいして好きでもない」など
隠さず正直に言ったりするところが面白い。
「精神的な面で露骨で、猿に近い」って……結構言いますねぇー(笑)
そんな、意外な楳図さんの一面もたくさん発見します。
若い頃から漫画を書き始め、現在76歳。
たまに楳図さんの事務所のある街で姿をお見かけする。
いつも朗らかな笑顔がとても印象的。
追々、また楳図さんの漫画に触れてみようと思う。
違う怖さがまた見えてきそうです。
uzumaki-guruguru.hatenablog.com
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