鬼火 フランス人ふたり組の日本妖怪紀行:アトリエ・セントー著のレビューです。
妖怪は国境なく不思議体験を人間にさせる生き物?なのかな
サブタイトル、「フランス人ふたり組の日本妖怪紀行」。フランスからやってきたセシルとオリヴィエが新潟に滞在し、あちこち周遊する。
イラストは終始陰鬱でレトロ、妖怪ムードムンムンです。ゲゲゲの鬼太郎的な世界とでも言おうか。怖いという感じはそれほどないのだが、曖昧な世界的怖さがそこかしこに転がっている。
困惑させられたのは「妖怪を撮ることが出来る」と言うカメラの存在。彼らは本当かどうかわからないけど、このカメラを手に入れ、あちこちで撮影を試みる。
日本人からの情報を頼りに日本の精霊たち、狐やタヌキ、その他の妖怪たちを追い求めることになるのだが・・・・。
一番不思議だった話は、彼らが呼ばれるように訪れた「恐山」。ここは日本人でもなかなか足を踏み入れない場所なわけだが、やはりとでも言おうか、そこで彼らは不思議な体験をする。
もはやあの世との境目に入り込んでしまったのでは?と思われるエピソードから、もしかしたら相当危ない状況だったのではないかと身震いする感じが.....なんともです。
各話の最後に関連写真が掲載されてる。これってなんだろう。加工編集されたものだろうけど、なーんか怖くて幻想的!
さて、問題のカメラです。これが最後の最後まで謎なんですよねぇ。一番妖怪っぽいというか。このカメラが旅の締めくくりにまたまた謎めいた出来事を運んできます。
ふわふわ掴みどころのないコミックですが、イラスト自体は日本人が書いたものに近く違和感なく入り込めました。
そうそう、このイラストで一番怖かったのは人々の醸し出す雰囲気。表情とかの描き方が絶妙で「きっと何かある・・・」という気持ちにさせられます。
外国人が見た日本的種類の一冊だと思うのですが、こういう斬り込み方もあるのかと、新鮮な驚きをもった1冊でもありました。妖怪は国境関係なく不思議体験を人間にさせる生き物?なのかな。