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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・感想・あらすじ】化物園:恒川光太郎

 

 

化物園:恒川光太郎著のレビューです。

 

化物園

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☞読書ポイント 

7つの短編集。「ケシヨウ」という生き物が出てきたら要注意。様々な生き物に化ける「ケシヨウ」が登場する話は、ファンタジーであったり、ホラーであったりとバリエーション豊か。「ケシヨウ」が怖いのか、それとも.....。

 

感想・あらすじ:「人間はおもしろい。だが、飼ってはならぬ」――なにげに怖いこの言葉

 

ひさしぶりの恒川光太郎さんの作品。読んでいるときは夢中なんだけど、読み終わって、さぁ、感想を書こうととなると、ピタっと手が止まってしまう作家さんのひとり。面白いんだけど、その面白さを自分の言葉で書くのが本当に本当に難しいといつも思うのだが、最近の作品はその傾向にさらに拍車がかかった感じがする。

 

本作は7編の短編です。どの話もどう捉えていいのか分からない奇妙な動物が登場する。分からないだけに気味が悪い。<ケシヨウ>という謎の化物が出て来ると何かが起きる。

 

 

最初の3編くらいまではなんとなく同じグループのような話であったが、後半へ行くほど感覚的にはどんどん壮大になっていく感じがした。個人的には最終話の「音楽のこどもたち」が印象に残る作品となった。

 

内容は、高い塀に囲まれたあるブロックに住んでいる12人の子供たちの話。妖精の国の女王・風媧様だけに音楽を奏でるよう育てられた子供たち。彼、彼女たちは乳母に育てられ、このブロックから外に出ることなく生活してる。

 

子供たちはこれが普通の生活だと思って育ったので、当然ここから「逃げる」という発想はない。しかし、それが普通ではない世界だと知った時.....。結末はちょっと物悲しい感じではあったけど、じわじわと沁み入る話であった。

 

最初は外国の童話を読んでいるような、またはファンタジーのようなふんわりした読み心地でいたのだけど、そのうちチラチラと現代社会にある問題が頭の中をよぎる瞬間があった。

 

外を知らずそれが当然だと思い育つということの危うさとでも言おうか。リアル社会でも起きていることを、恒川さんが大きな物語というガーゼに包んで私たちに何かを伝えて来た感じがした。

 

日常からふと迷い込むような恒川さんの作品が好きなのですが、ここ最近はそれだけではない、やはりひと味違うものが加わった感じがする。そのあたりをこうして文章に書き表すことは非常に難しい。....というところに結局は行き着くわけですが(苦笑)願わくば、「夜市」みたいな作品もまた読みたい!

 

化物園

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恒川光太郎プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。他の著書に『白昼夢の森の少女』『滅びの園』(KADOKAWA)などがある。(Amazonより)

恒川光太郎作品おすすめ

夜市 (角川ホラー文庫)は恒川さんの代表作って言ってもいいほど有名よね。この作品から恒川さんのファンになった人も多いはず!私はフーイー 沖縄怪談短篇集 は、沖縄の怪談集なの。表紙がちょっと怖いんだけど、内容は怖いというより、不思議な空間や神秘的な人々が登場する話。夏に読むといいかもね!