うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】茶畑のジャヤ:中川なをみ

 

 茶畑のジャヤ:中川なをみ著のレビューです。

茶畑のジャヤ: この地球を生きる子どもたち (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)
 

 

◆少年の目を通して感じるスリランカ

 

「若い時に触れる外国」というのは得るものが大きい 、若い時にしかできない旅というものがあるとよく言われているが、あらためてこの本を読んでそう思う。

 

もちろん大人だってそうなんだけど、若い時は見たもの、感じたことが、そのまま血となり、肉となり吸収される。


彼、彼女たちのこれからの人生の中でこの貴重な体験がどこかで活かされるものになる。

 

主人公の少年は学校で成績が良いということから友達から孤立してしまう。
そんな少年をおじいちゃんは一緒にスリランカに行こうと誘う。

 

特にスリランカに興味があったわけでもない少年がなんとなく訪れた土地。
一体どんな旅になるのだろうか。

 

自然豊かな国で彼は茶摘みを手伝う少女・ジャヤに出会う。

彼女に出会ったことにより少年は、この国がつい最近まで二つの民族が内戦状態で
あったことを知る。

 

ジャヤはその二つの民族の血を引く子供。現在でも続く民族間の差別を目の当たりにして、少年はこの国の歴史にさらに興味を持つ。

 

セナが語るスリランカの歴史の話は、非常にコンパクトであるが解り易い。

 

とかく民族間の紛争は複雑な話が多く、難しいと感じていたが、この本をはそんな私にもスッと内情が理解できた。
     
少年はジャヤの置かれている立場、この国の歴史を少しずつ知ることによって、いつしか自分の学校での状況と重ね合わせて考え始める。

 

─────たくさん想像できる人は、人を殺さない。
      悲しみがたくさん想像できるから ─────

 

スリランカの豊かな自然風景、世界遺産、海などを背景に旅をしながら成長してゆく少年の姿が大人の私には眩しく映る。

 

たった6日間の旅ではあったけれども、少年が感じたこと、考えたこと、そこから掴み取れたこと、これらは明日の少年を確実に強いものにしたと思うのだ。

 

日本に戻った少年が見た風景は、きっと今までと違って見えたことだろう。

 

200ページちょっとの本ですが、スリランカのことが知れて良かった。大らかできれいな笑顔をもつ人びとの悲しい過去を教えてくれた大事な一冊になった。