きんきら屋敷の花嫁:添田小萩著のレビューです。
なに?この不気味さ・・・
これはねぇ。。。怖いという感じではないのですが、「なになになになに???」という感じが強く、とにかく「変」「妙」という言葉が当てはまる一冊でした。
資産家の家に嫁いだ天涯孤独の27歳の知花。広大な森に囲まれた屋敷。外部との接触を嫌い、親族たちだけで行動する人々。この一家には昔からの決まりごとが数多くあり、戸惑いながらもそれらの教えを義母から学ぶ知花。
そして、年に一度の一族にとって大切な行事が行われる。知花は森の中に入り、「あるもの」を得てくるという重要な任務を果たさなければならなくなる。知花が無事に得た「あるもの」とは一体・・・・。
この「あるもの」を本当はここに書いてしまいたい・・・。書いてしまいたいよぉ。けど、書いたら確実にネタばれになっちゃうんです。少しだけ書いちゃうと、「あるもの」とは、この一家の家計を支えるものになるんだけど、その「もの」が現れるシーンが、そりゃーもう、「変」なんですよ。
ちょっと思い出したのは、花咲じいさん。あの話では「ここほれワンワン、ここほれワンワン」だったけど、本書では、とても奇妙なものから・・・・(以下省略)
奇妙な雰囲気に最初は飲み込まれてしまいそうだったのですが、年を追うごとに、ここの嫁同様、一族の行動に慣れてしまう自分がちょっと可笑しい。
本書は資産家に嫁いだ嫁が家族に馴染む様子と、何かが始まりそうで、なかなか見えないモヤモヤゾワゾワ感がいつになく楽しかったように思えます。中途半端に怖いホラーを読むより、こういうわけのわからない感じの珍妙さが良かったのかな・・・。というか、作者の発想が何よりも凄いわ。ゴシック・ロマンスと書いてあったが、この雰囲気、癖になりそう(笑)