うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】最高殊勲夫人:源氏鶏太

 

最高殊勲夫人 :源氏鶏太著のレビューです。

最高殊勲夫人 (ちくま文庫)

最高殊勲夫人 (ちくま文庫)

 

 

恋愛にうつつを抜かしている昭和の会社はなんだか楽しそう!

 

 源氏渓太氏の作品は初読みでしたが、とても読みやすかったです。
まさに昭和のラコメディで、最初から最後までバタバタしていましたが、最後はお約束のようにまーるく収まるあたりが爽快です。

 

さて、この話の大きな目標は三姉妹の三女・杏子が三原家の三男・三郎と結婚できるかどうか?この一点のみ!

 

三原家は三原商事というそこそこの会社を経営している一家。
杏子の姉である桃子は三原家の長男で社長の一郎と結婚している。
同じく次女の梨子は三原家の次男で重役の次郎と結婚。

ともに三原商事の秘書というポジションからの結婚で、いわゆる玉の輿姉妹なのです。

 

両家、残るは三女と三男。この二人をどうにか結婚させたいと長女の桃子は躍起になる。なにせ次女も三原家に嫁ぎいい生活ができているのも私のおかげ・・・と自画自賛。だから、三女もどうにかして嫁がせようと、まずは杏子を三原商事に就職させ、自分と同じように秘書にさせるのだが・・・。

 

一方、杏子はこの政略結婚を回避しようと三郎と結託し、あれこれ作戦を練っては実行する。

 

 

 

とにかくこの話は、各々の目論見がものすごい。桃子の言動はすでに自分本位すぎで常識を大きく外しているし、桃子の夫は浮気が杏子にばれちゃってすったもんだ。

 

杏子は仕事を始めたら社内の男性からモテまくったり、三郎には婚約者が現れたりと男女関係もあれこれお盛んになってゆく。

 

そんななか、ちょっとした哀愁を見せてくれたのは姉妹の父親。定年目前、娘たちは次々嫁いでゆき・・・・。しかも長女も次女もちょっとした格差婚で、義理の息子たちともうちとけて呑んだりする仲になれないという虚しさも。一番可愛がっている三女も間もなく・・・と思うと黄昏がち。父親の気持ちを描いたシーンは胸を打つものが多い。

 

 

 

これを読んでいてチラチラと谷崎の「細雪」を思い出していた。すでに嫁いでしまった姉たちにとって気がかりなのは独身の妹。昔は親以上にその干渉度は高かったのでしょうか?

 

妹へアドバイスするとかいうレベルを超えて、あれやこれやとしゃしゃり出て行くシーンはもう会社自体を揺るがしてしまいそうなほど大それたもの。そのくらい気持ちを「妹の結婚」に注いでいるのだからアッパレだ。

 

さて、杏子と三郎、どこまで逃げ切れるのか?たくさんの人々を巻き込みながらラストへ向かう。ふたりがどうなるのか・・・もはやこの一族だけでなく、読者もまたこの二人の行方へのみに関心が注がれ、固唾を呑んでその時を待つ。

 

まぁ、言ってしまえば、なーんにもしなくたって、くっつく時はくっつく。あの騒ぎは一体なんだったのだろう・・・と思わないでもない(笑)

 

それにしても昭和の会社って楽しいですねぇ。みんな仕事そっちのけで恋愛にうつつを抜かしている感じが平成にはない明るいムード。こんな感じだと会社行くのも楽しいよね。