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【感想・あらすじ・レビュー】黒い絵:原田マハ

 

 

黒い絵:原田マハ著のレビューです。

☞読書ポイント 

ミステリ―とアート、そして官能が合わさった感じのストーリーから、いつもの原田マハさんの作品とはちょっと違ったテイストの短編集。アートをあらゆる角度から物語にしているバラエティーに富んだ作品を楽しもう。

 

黒い絵

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感想・あらすじ 

 

短編集。アート絡みの短編ではありますが、マハさんにしてはちょっと珍しい「官能的」な描写も多く、「おお!」となったわけですが、改めてマハさんってホント七変化する作家さんだなぁと思う。(後で知ったのですが、本作はかなり昔の作品も含まれているそうです)

 

という意味でも、今回はアート作品からちょっとだけ抜け出し、遊び心を入れたミステリアスなテイストの作品たちでした。官能部分は結構ハードめなので、好き嫌い二分化されるかなとは思います。

 

 

 

 

個人的には面白く読みました。特に「オフェーリア」はドキドキしながらページをめくる指が止まらず。こちらは絵画の中にいる女性が、ある画家の父娘を見つめているという内容。

 

モチーフになっている絵画はミレイの「オフェーリア」。物語を読むみながらこの絵画を観ると、川に浮かぶ女性の悲痛な叫び声が聞こえて来るように感じ息苦しくなる。何はともあれ、酷い父親と娘の悲恋という世界にどんどん惹きこまれていった。

この作品、実は芥川龍之介の「地獄変」が下敷きになっているそう。「地獄変」を読んだ方ならたぶん「似ているな~」「どこかで読んだな」って気づける内容だと思いますが、幸か不幸か、私は未読だったので、この絵画の中の人が見た人間模様を新鮮な気持ちで読んでいました。なにか、西洋絵画と日本文学を融合させているというか、こういう作品の作り方もありなんだ~と、読後に思いました。

 

読み比べる意味でも、好奇心旺盛の読者は「地獄変」も必ず読みたくなるわけで、なにか罠にはめられた感も(笑)

 

その他、ゴッホの話や、お釈迦様の「指」の話とか、修復士の話など、いずれも芸術関係のバラエティーに富んだ内容になっている。タイトルをどう読むかは読者次第の一冊でした。

黒い絵

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・プロフィール

1962 年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事株式会社、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターとなる。’05年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、’06年作家デビュー。’12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を受賞。’17年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞を受賞。ほかの著作に『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『たゆたえども沈まず』など多数。’19年、世界遺産・清水寺で開催された展覧会「CONTACT」の総合ディレクターを務めるなど、日本・世界各地のアートと美術館の支援を続けている。(Amazonより)

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