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【レビュー】美しき愚かものたちのタブロー:原田マハ

 

美しき愚かものたちのタブロー

美しき愚かものたちのタブロー

 

 

 「松方コレクション展」へ行く前に抑えておきたい一冊です

 

来る日も来る日も作品を創り上げる意欲、情熱、その気迫。そんな人々を魅了する芸術家は洋の東西を問わずたくさんいる。

 

そして、創作活動と同じくらい芸術に情熱を注いでいる人々が居る。コレクターだ。彼らがいかに芸術にはなくてはならない存在であるかということが、本書を読むとよく解る。忘れてはならない存在だ。

 

今、私たちは、美術館でありとあらゆる芸術家たちの作品に触れられるようになった。

しかし、どうしてこのように多くの作品を観られるようになったのかはあまり語られていない。当たり前に鑑賞出来る環境になったことがどんなに凄いことなのかを、知れた意味でもこの一冊の役割は大きいと感じます。

 

「ほんものの絵を見たことがない日本の若者たちのために、ほんものの絵が見られる美術館を創る」

 

 実業家・松方幸次郎。物語の大きな柱は、彼のこの強い意志でできている。私財の全てを投じてでも、絵画を買い集めようと、ロンドンやパリに訪れては画廊に通ったり、画家たちと直接会ったりしていた。

 

彼には絵画の良し悪しを判断する目はないのだけれども、彼の助けとなる田代氏をはじめ、日置釭三郎氏らなど、松方の思いに賛同する素晴らしい人々との出会いにより、着々と準備は進んでいた。

 

しかし、時代は移り行く。

第二次世界大戦により松方と音信不通になったまま、戦火の中、タブローを守ろうと必死になっていた男・日置が物語後半大きな存在感を増す。

 

松方の魅力やその志しの素晴らしさは言うまでもない。そしてもう一人、この日置というダブロ―を守り抜いた男が居なかったら、私たちは国立西洋美術館の誕生を見ることが出来なかっただろう。また、吉田茂と田代氏の交渉なくしてはあり得なかった話である。

 

 

 

いやぁ、松方コレクションの作品が辿って来た道のりは圧巻です。

様々なエピソードから垣間見る人々の言葉や行動に魅了され、有名な画家たちの当時の様子にわくわくし、そして、現在の国立西洋美術館の中に入るまで、映画のひとコマひとコマを見ているような気分で読みました。特にゴッホの絵にまつわる切ない話が印象的でした。

 

ラストは万感の思いが押し寄せます。「睡蓮」と男の後ろ姿に様々なシーンが思い出され、目頭が熱くなりました。やはりマハさんのアート作品は胸熱だなぁ。特に長編は本当余韻に浸れるものが多いです。

 

さてさて、マハさんのアート作品はたいてい展覧会に合わせて出版されている。今回も国立西洋美術館開館60周年記念ということで「松方コレクション展」が開催されています。読んだら行きたくなるのが常である(笑)

 

www.nmwa.go.jp