近畿地方のある場所について:背筋著のレビューです。
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感想・あらすじ ネタバレなし
SNSで前評判が良かったので楽しみにしていた一冊。この表紙といい、作者の名前といい、タイトルといい、ひたひたと恐ろしさが伝わってくる感じがして、今年、最大級の恐怖本になりそうだな~って、気持ちが盛り上がっていました。なにせ、読んでいる途中の人、読み終わった人たちの感想が「怖い」のオンパレード。
そしていよいよ私もーーーって、ワクワクしながら読み始めました。
はい、やはり評判通り怖いです。次々と怖い話を差し出され、戸惑いつつも読み進めます。
で、最初に思ったのはこの作風、どこかで読んだことが....そうそう、三津田信三氏の作品だと。なんでもこのような作品は、実録風に作られたフィクションで、モキュメンタリーホラーという括りらしいのです。ちなみに、
モキュメンタリーとは.....
映画やテレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法である。モキュメンタリーは擬似を意味する「モック」と、「ドキュメンタリー」を合成したかばん語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。(Wikipediaより)
私的にはこのパターン、すごくハマったものと、そうでないものが半々ぐらい。苦手だったのは同じような話が繰り返され、途中で飽きてしまうというケース。今回はそのパターンで、一応最後まで読みましたが、最初の「怖い、怖い」って気持ちが、徐々に薄れて行ってしまった。
話はオカルト雑誌のライター背筋が「近畿地方のある場所」について「怪異の正体」を突き詰めていく。読者からの手紙やネットの掲示板、インタビューのテープ起こし、ルポルタージュなど、様々なパターンで、話が続々とと登場する。話は断片的に少しずつ繋がっては、また謎を深めていく....そんな繰り返しでページが進んでいきます。
ひとつひとつの話はやはり怖いのです。フィクションと解っていても、読んでいるとリアルな話として受けてしまう。そして、得体の知れない恐ろしいなにかが、どんどん近づいて来ているような感覚も。
しかし、後半はもういいかな....って。断片的すぎるのが、自分にはどうも合わなかったようです。本作は小説投稿サイト「カクヨム」に投稿されたものらしいのですが、そういう読み方の方がむしろ紙媒体よりも合う内容であると感じます。また、朗読系のものも期待できる。怖さが倍増しそう。ということで、好みの分かれる作品かなと。めちゃめちゃハマる人もいると思います。
最後に一つだけ。最高に怖かったのは、巻末の袋とじ「取材資料」です。これをやられてしまうと、もうね。わたしは、最後の最後にそこを開きましたが、思わず「ひぃい....」って声が出たほど怖かったです。
背筋プロフィール
プロフィールは不明ですが、電子書籍でコミックを数多く出版されています。
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モキュメンタリ―ホラーと言えば三津田氏。話の進め方から、いわゆる読者への「おあずけ」の匙加減がとてもうまい。
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