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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】私はスカーレット上:林真理子

 

 

(単行本)私はスカーレット上:林真理子著のレビューです。

☞読書ポイント 

戦争が迫りくる中での不安と、大きく揺れ動くスカーレットの恋愛感情の波に、あっという間に呑み込まれるような作品。上巻は、まずはスカーレットのちょっと傲慢なキャラを愉しもう。映画を観ていない人にもおすすめ。

 

感想・あらすじ

 

ラジオ番組で、林さんが「自分で読んでも面白い」って言っていたので、早速読むことにした一冊。翻訳本を読むのは少々しんどいな~って思っていたので、これは嬉しい情報!だと。

 

苦手とする大勢の登場人物も、冒頭に「登場人物の一覧」があるので何とかなりそうだと(笑)しかし、こんな心配も読み始めたらなんのその、読み易い文体に救われスイスイと、そして物語の世界にグイグイと引き込まれ、予想通りページをめくる指が止まらないという状態に。

 

「風と共に去りぬ」の映画は観たことがある...と、言いたいところだが、実はまだ観ていない。なんとなくストーリーは知ってはいたけどなかなかご縁がなく、本も映画も見ずにこの年まで来てしまった。そういう意味でも興味津々であった作品。

 

 

 

 

物語の舞台は南北戦争時代のアメリカ。主人公のスカーレットをはじめ、裕福で優雅な生活をしていた人々が、戦争のはじまりとともに、どんどん生活が一変していく様は圧巻だ。そして何といってもスカーレット。戦前、戦中においての彼女自身の変化が本当に見ものです。

 

わたしはてっきりスカーレットという女性はエレガンスで控えめで穏やかな古き良き時代の女性を想像していたのですが、これが全然なんですね(笑)美しい女性ではあるのだけど、自惚れは強いし、思い込みも激しい。そして、辛辣でちょっと意地悪なところも。このあたりは、林さんの腕の見せ所って感じで、たまにクスクスと笑ってしまう。

 

「男性はみーんな私を好きになるのよ」的な傲慢さがある意味面白い。その勘違いを持って恋愛やら結婚やらに突き進むのだけど、好きな人との結婚は叶わず。

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ヤケクソで他の男性と結婚するも(これもすごいことだ)、夫は早々に戦死。夫は亡くなったが妊娠が発覚。生まれた子になんの母性もないスカーレット。これから一人でちゃんと育てられるのだろうか?等、早くも行き先が不安だ。また、人間関係も結構ぐちゅぐちゅしていてバタバタが続く。

 

そこにふわふわと登場するレット・バトラー。皮肉を言い合い、喧嘩したかと思えば、助けを求めたりと、バトラーとスカーレットの仲も注目。戦争が迫りくる恐怖のなかで、どんどん逞しくなっていくスカーレットとその後はいかに?

 

 

 

 

たくさんの気になる要因を残し下巻に突入するわけだけど、一体、どのように話が展開していくのか全く想像が出来ない。明るい話になるのか、それとも...と、想像を巡らせるわけだけど、図書館で借りて読んでいるため、下巻はちょっと先になりそう。とりあえずこの興奮を一旦鎮めて、下巻に挑もうと思います。

 

私みたいにまだ読んでいない方、読み易いのでおすすめですよ!!なにせ上下巻でこの世界が堪能できるんですもの。この機会を逃さぬようにです。

 

文庫本の方はどうなっている?完結してるの?

文庫本が先に出ていて4巻までは確認出来ましたが、完結しているのか不明です。噂では5巻はまだで、今回出た下巻に続く...みたいな流れとか。中途半端ですよね。これから文庫の完結版が発売されるのか分からないので、今回の上下巻で最初から読むのがベストかもです。先が気になったまま悶々とするのは避けたいですからね(笑)

合わせておすすめ

原作は5巻からなるのかな。これ、ハードルがちょっと高いのよね。林さんのを読んでから原作を読むのがいいかもね。

 

林真理子について

1954(昭和29)年、山梨県生れ。1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーになる。1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、1995(平成7)年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、1998年『みんなの秘密』で吉川英治文学賞、2013年『アスクレピオスの愛人』で島清恋愛文学賞、2020(令和2)年、菊池寛賞を受賞。そのほかの著書に『不機嫌な果実』『アッコちゃんの時代』『正妻 慶喜と美賀子』『我らがパラダイス』『西郷どん!』『愉楽にて』『綴る女 評伝・宮尾登美子』など多数。(新潮社・著者プロフィールより)