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【感想・あらすじ・レビュー】遊廓に泊まる:とんぼの本:関根 虎洸

 

 

遊廓に泊まる:とんぼの本:関根 虎洸著のレビューです。

 

 

 

 

 

☞読書ポイント 

現役営業中の遊郭に泊まる!ということで丁寧に取材された一冊。今となっては映画ぐらいでしか見ることがないあの遊郭に泊まれるとは!?いきなり泊まるのは勇気が要りますよね。一体、建物の中はどうなっているのか?客室は?お食事は?等々、写真で下見ができる1冊。

感想・あらすじ 

ひさしぶりの「とんぼの本」。図書館の棚をゆっくり見ているときに出会った一冊です。とんぼの本と遊廓本は相性がいい。わたしにとっても気が付けば手に取ってしまうジャンルのようです。

 

さて、今回は「遊廓に泊まる」ってことですが、泊まれるんですね?前回読んだ「遊廓」では、かなり朽ち果てた遊廓の建物をたくさん見た。泊まれる雰囲気のものは少なく、時代の流れを感じさせられるものばかりでした。

 

しかし、今回はいわば「現役」という形で活躍している遊廓の建物が主役です。もちろん現在は遊廓としての意味はなく、宿泊施設ということですが、さすが現役!磨きこまれた内部は、昔の姿をきちんと維持し、どこか晴れ晴れしくお客さんの訪問を待っているといった風情。

 

遊廓の顔とも言える玄関。写真から頭の中に当時の映像が浮かび上がってくる。この独特な雰囲気は言葉にし難いものがあるのだけど、映画で観た世界をすぐに再現できそうだなぁーと、ページを開いて数秒でその世界の呑み込まれてしまった。特に印象的だったのは、青森県八戸の新むつ旅館。Y字階段と空中回廊には、遊女たちの足音が今にも聞こえてきそう。

ちなみに、宿泊料を知りたくてHPを見に入ったら、

長らく休館をしておりましたが、廃業することとなりました。館内の見学はできませんが、外観のみは見学可能です。

とのことでした。いつ廃業されたかわかりませんが、コロナの影響でしょか?非常に残念です。

 

そして圧巻だったのは大阪の西成区にある飛田新地「鯛よし百番」。ここは全室完全主材ということで筆者も力を入れてる。とにかく外見からしてものすごいインパクト。内部に至っては、あちこちに施されている細工の華やかさ、障子や天井に描かれた絵画のきらびやかさ、目が爛々としてきます。玄関の赤い絨毯を踏んだら、そこはもう別世界。

 

こちらは現在入店可能な「鍋料理店」だそう。大阪では有名なのかな?建物を見るだけでも価値がありそうなのに、そこで鍋料理も食べられるなんて!これは一度訪れてみたい!

 

ということで、泊まってみたい気もするけど、いろいろな「念」が残っていそうでちょっと怖い気もする。(写真に人影がないので、余計にそう感じてしまったかも)お食事くらいにとどめておくのが自分には丁度良さそう。

 

それでも遊廓はなにか惹かれるものがたくさん詰まっている。建物だけでなく、その周辺の風情も魅力的で、一度くらいはどこか訪れてみたいと思った次第です。

 

 

 

 

合わせておすすめ

こちらもとんぼの本で「遊廓」を取り上げています。とにかく写真がたっぷり掲載されていて、どっぷり遊廓の世界に浸れる一冊。朽ち果てた遊廓多数。

www.readingkbird.com

・関根 虎洸(せきねここう)プロフィール

フリーカメラマン。1968年埼玉県生まれ。元プロボクサー。2001年『DOG&GOD』(情報センター出版局)、2012年『Chelsea・桐谷健太』(ワニブックス)他。2014年、旧満州に残る遊廓跡を訪ねたことをきっかけに遊廓建築の撮影を開始。(新潮社・著者プロフィールより)