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【感想・レビュー・あらすじ】東京近江寮食堂: 渡辺淳子

 

 

 東京近江寮食堂: 渡辺淳子著のレビューです。

東京近江寮食堂

東京近江寮食堂

  • 作者:渡辺 淳子
  • 発売日: 2015/03/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

感想・あらすじ ディスカバリー近江料理!

 

作者の渡辺さんは滋賀県出身の方。たまに出る滋賀の自虐ネタも、出身者ならではのもの。ニヤニヤして読みました。食堂というだけに、食べ物もたくさん登場。ディスカバリー滋賀的な料理に遭遇できます!

 

舞台は東京・谷中。
定年を迎え、10年前に突然家を出て行った亭主を探しに滋賀から上京した妙子。しかし上京して早々、財布をなくしあたふたしているところに、安江に出会う。

 

安江は東京に出てきた滋賀県民のための安宿「近江寮」を経営しているのだが、彼女は料理が下手ということで、妙子はしばらくこの寮に住み込んで、料理を手伝うことにする。働きながら夫の行方を追う。

 

話は夫の行方を追うだけでなく、この寮に宿泊しているちょっと訳ありな人々や、安江の家族の日常も描かれている。個々に持つ悩みや問題は山積みだけれども、なんといってもこの話は食べ物が持つエネルギーを感じさせられるシーンが多い。

 

美味しいものをモリモリ食べる。
食べることによって、みんなが元気になってゆく様子が清々しい。

 

「赤こんにゃく」や「丁子麩の酢味噌和え」「日野菜」等々、聞き慣れない食べ物の登場も、「どんな味なんだろう?」と、想像しながら読むのも楽しいです。

 

妙子は料理を作ること、誰かに食べてもらうことの喜びを感じるなかで、モヤモヤしていた夫への気持ちも変化してゆく。さぁ、10年ぶりに夫との再会はなるのか?

 

 

 

筆者の「滋賀愛」もジワジワ感じられる!?

 

分かりやすいストーリーで、登場人物たちのやり取りにリズムがあり、キャラ設定もリアルなので、谷中あたりを歩けば実際にありそうに思えてくる「近江寮」。

 

安いし、外国人観光客も口コミでやって来る。建物の中から美味しい匂いが・・・。
そんな「近江寮」に出合えそうな気がします。

 

すごくアピールしているわけではないが、この本から筆者の「滋賀愛」もじわじわと感じ取れます。小学校の時に滋賀から転校してきたTちゃんをふと思い出す。会話にスルッと「長浜」という言葉を挟みこみ、私たちにまだ見ぬ滋賀の素晴らしさを教えてくれた一人。

 

Tちゃんも、この作家さんも、さりげなく投入される「滋賀愛」はどこかこの小説に似ていた。滋賀県は民間人の自主的広報活動が密かに盛んなのか?いつの間にか私たちも「滋賀愛」に包まれてしまう(笑)

 

しかし、滋賀の郷土料理は正直まだピンとこない。近江牛も食べたことあったかな~。
個人的にはサラダパンが食べたい!←郷土料理じゃない。

 

文庫本

 

シリーズ

なんとなんと近江食堂は着々とシリーズ化が進み、青森や宮崎が加わっていますよ!大変人気のあるシリーズなんですってよ!どの表紙もおいしそう~~~♡