家族スクランブル:田丸雅智著のレビューです。
誤変換っぽいタイトルから想像がふくらむ
18話のショートショート。
どの話も程よい長さと、楽しい読み心地。
ちょっと不思議、ちょっと不気味、ちょっとあったかい。
常に感じたのは作家の「想像力」ってやつです。
この話の源は一体どんなものだったのかな~って。
田丸さんのショートショートのタイトルは、毎度毎度ものすごくユニークで面白い。
読む前からこちらの想像力までもがムクムクと膨らんで行く。
例えば「吸血木」。
例えば「幸茶」。
一瞬、誤変換かな?って思ってしまいそうなタイトル。
ひょっとしたら、誤変換から物語が生まれちゃったりするのかな?
「吸血木」は吸血鬼よりなんだか恐ろしい。
「幸茶」は漢字を見るだけで多幸感。飲んだらどうなるのか?
そんなこと考えながら物語の世界へ入っていくという読書。
ショートショートなのでネタバレにならぬようあらすじは控えることにするが、お父さんが馬になっちゃたり、箪笥があるものを食べたり、目の下の涙袋に魚が棲んでいたり。どれも奇想天外、「うわー」な発想なのです。
身の回りの物の見方ががらりと変わってしまうような・・・。
あれもこれも、ひょっとしたら?なんて考えてしまいます。
少しだけ現実からトリップ出来る作品は通勤読書にちょうどいいかな。