花酔ひ :村山由佳著のレビューです。
◆うーん…それなりに官能?
夏休みを終え、久しぶりに会うクラスメイト。
その中に、休み前とガラッと様子の変わった子が…
一体何が?大人の経験したのかな…
こんな経験があると思うのですが、このころの最近の村山さんの作品を
読んでいると、どうしてもこれと同じような気持ちになるのです。
社内恋愛の末、結婚し、やがて実家の呉服屋を継ぐ麻子。
ブライダル会社の営業の夫、誠司。
京都の葬儀社の社長令嬢・千桜とその婿養子・正隆。
2組の夫婦がお互いのパートナ―と不倫するという設定。
舞台は京都の貴船や浅草だったり、アンティーク着物や骨董など、
設定自体は惹かれる要素が多く、最初は私自身、これは面白くなりそう
と思っていたのですが、途中から内容が一転。
京都の千桜が、昔、伯父さんにされた性的な回想シーンによって、
一気になんというか、官能小説臭漂う内容になって行きます。
2組の不倫カップル。相手が変わったことによって、今までと違った
自分、特に性に対してめまぐるしく変化・開花して行きます。
そんなお互いの変化を微妙に気付きながらも夫婦関係は続く。
後半はベッドシーンが頻繁に。千桜と誠司のSM調教?の様子や
会話など、結局吸い込まれるように読んでしまいましたが、
どーしても、村山さんの顔が浮かんじゃうんですよね。
こんなに作品の人物の中に作者が干渉して来てしまうって
村山さんのキャラが強すぎるのかな…
結局、このお話。なんだかどんよりした気分で終わっていました。
何かを掴む小説って感じではなかったです。
ただただ、快楽への欲望と女の性の香りがプンプンする
感じだけが残りました。
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズなどで見えた
あのほのぼのした感じはもう卒業?なんて思わず考えてしまうくらい
路線が変わったなぁ。村山さんご自身、一皮むけ転換期に入ったのかしら。
SMでもなんでも、官能系に行くなら徹底的にとことん!とお願いしたい。
そして、官能にも愛を!…と、ちょっと偉そうですが、今後への期待を込めて。
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