ふなふな船橋:よしもとばなな著のレビューです。
感想:ばななとなしのコラボ!?
よしもとばななさんが、ふなっしー好きで、ふなっしーと仲良しだと言うことは知っていたけど、まさか小説にふなっしーを登場させるとは思ってもみなかったので、一体どんなおはなっしーなのか大変興味があった。
もっと「梨汁プシャー」な感じかと思ったのですが、なんというか、ばななさんの世界にそっと寄り添うふなっしーという感じで、梨の妖精というキャラクターがいい感じで描かれているんですねぇ~。こんな風に小説にしてもらえたふなっしーは幸せ者だよ。
さて、今回も悲しい家庭環境の少女や女性たちが、少しずつ元気になってゆく話です。
父が借金で夜逃げをしてしまい、母は再婚相手と新しい家庭を作るという状況下に立たされた主人公の花。母親は自分たちとの同居を望んだが、彼女は母と別れて住む選択をし、叔母さんの住む船橋のマンションに越して来た。母親が買ってくれたふなっしーのぬいぐるみと一緒に。
船橋の叔母のマンションの部屋は過去に悲しい事件があったという事故物件。そうとは知らずに生活をしていた花はやがて不思議な夢をみるようになる。
その夢をさかいに、偶然なのか必然なのか・・・恋人との別れや新たな人々との出会いから、別の世界が見え始め花の生活が全然違うものになってまた動き出す。
両親との別れ、母親の死、父親と叔母の関係、恋人との別れ。花は結構な辛いことが確かに続いている。
友達と心の拠り所になるものは最強の元気の素
そんな時に彼女を包んでいたのは、親友の存在といつもキラキラした目をしたふなっしーの存在。ぬいぐるみだから何かをしてくれるわけではないけれど、ふなっしーは大好きだったお母さんと繋がっているような感覚を運んで来てくれ、花の大きな心の拠り所となっている。
表面だけでは人が幸せか不幸かは決してわからない。色々あるのは自分だけではなく、穏やかに暮らしているように見える友達にもいろいろあったのだということに気づいたとき、なにかパン!と花の人生が開けてゆくような感じが良かったなぁ。
あと、好きな町で人生を歩むっていいな~って思った。船橋はよく知らない土地だけれども、花を通して好きな町で暮らすことっていいもんだなぁーとしみじみ思ったのである。
事故物件なんてとかく怖い話になりがちなのに、死者と寄り添い共存している感じは
もうばななさんの定番と言っても過言ではない。
そして、梨の妖精ふなっしーも大活躍!淋しいとき、辛くて眠れないとき、幾つになっても心の拠り所になるものの存在はとても大きい。それがたとえなにも語ってくれなくてもね。