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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・あらすじ・感想】青空娘:源氏鶏太

 

 

 青空娘:源氏鶏太著のレビューです。

青空娘 (ちくま文庫)

青空娘 (ちくま文庫)

 

 

逆境に打ち勝つ、それは健気にまっすぐ生きること

 

継母や意地悪な子供たちのいじめ。頼りになる男性の登場。複雑な家庭環境でもまっすぐに健気に生きる娘。・・・と来れば、あの話を思い出さずにはいられません。この話を読み進めると、そう、あのシンデレラの存在がチラつくのです。

 

話は祖母が死に際に有子は自分の出生の秘密を告げられたことから始まります。祖母の死により東京に居る実父の家で暮らすことになった有子。しかし、有子はこの家で女中として扱われ、子どもや継母のいじめに遭う。やがて堪え切れず有子はこの家を自ら出ることになるのだが・・・。

 

外に出るにあたって有子には様々な助っ人が登場する。学校の恩師や、金持ちのお坊ちゃまや、お店のマダムなど。

 

有子がお金に困ったり、住むところに困ると必ず偶然会うというもうベタすぎて笑ってしまうほど。しかも1度や2度じゃないから「そんな都合よくいくかっ!」とブツブツ言いたくもなるのだけれども、途中からはもうハッピーエンド目指していろんな人のお力を

借りるがいいと、訳のわからない開き直りが(笑)

 

また有子は美しく性格も素直なものだから結婚したいと願う男性陣。特に広岡という男は、ある事情で有子の「靴」を預かっているのです。

 

 

 

恋愛模様も入りつつ、有子の最大の望みは実母を探し出すこと。生きているのかどうかも分からないほど手がかりのなかった実母。しかし、どうも生きているということで希望の光が!さぁ、母と暮らす夢を叶えられるのか?

 

話の展開や設定など、少女小説に近いものがありました。特に逆境に立ち向かう健気な娘の姿などは、まぶしくもあり、こそばゆくもあり、今どきにない人物像にたじろきます。

「だって、お父さま。あたしは、いつでも、どんな風雨の日にでも、その雲の彼方に青空があるのだ、と信じて来たんですもの。」

 

ねっ。目を見てこんな言葉言われたらきっとたじろきますって(笑)眩しすぎるーー!

 

解説は山内マリコさん。「忘れられた、この愛しき作家」というタイトルで、源氏さんのことを語っています。富山出身ということで、同郷の先輩のことを綴った山内さんの愛ある解説から、源氏さんのお人柄に触れたような気がしました。

 

派手さもなく、大きな特徴という特徴があるわけではないかも知れないけれど、源氏さんの作品には「味」がある。

 

そう、山内さんがおっしゃる「至るところに源氏鶏太の味の沁み出した小説」なのです。