口紅のとき:角田 光代著のレビューです。
感想・あらすじ 女性と口紅の長い関係。そこには素敵なストーリーが。
2007年、銀座「HOUSE OF SHISEIDO」で行われた同名の展覧会において、角田光代が書き下ろした「口紅」をテーマとした小説がついに書籍化。…という本だそうです。100ページ少しで、文字も大きく15分から30分もあれば読めてしまう短いお話です。
6歳から79歳になるまでの女性が、様々な場面で口紅と共に年を重ねて行きます。
お母さんの口紅を引く姿、思春期の口紅、結婚式の口紅、娘の口紅…女性と口紅の関係は、切っても切れない一生を通しての深いものなのだと改めて思いました。
その証拠に、女性は亡くなった時ですら、最期の口紅を塗ります。私もこの中の話と同じく、祖母の最期の口紅を引いた時のことをよく覚えています。
どんな時も口紅を塗る瞬間は、女性だけが知っている、静かで特別な自分だけの時間がそこにあります。
男性には分かりにくい話ではあるかもしれませんが、65歳の章の夫婦の話は奥さんの健気さに泣かされます。
中盤に、色々な年代の女性が口紅を塗っているシーンの写真が掲載されています。こちらもモノクロで良い雰囲気でした。短い小説ですが、とても素敵な本でした。
お化粧を覚え始めた娘さんへ口紅と一緒にプレゼントするのも素敵です。
貰った娘さんは、きっと車内でお化粧しなくなるかも!?
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