星球:中澤日菜子著のレビューです。
感想・あらすじ
『お父さんと伊藤さん』『おまめごとの島』と、登場人物たちのキャラクターが個性を放つ小説で楽しませてもらっている中澤さんの初短編集ということで、これは読まずにはいられない。
6つの話はどれもサラッとした読み心地。最後は薄日が差すようなほのかな明るさを感じさせられる結末が多いので快適です。
中澤さんらしいなぁーと感じたのは、「半月の子」。出産を故郷ですることにした主人公。主治医となった男性は、なんと高校の三年間ずっと憧れだった人だという大パニック確定ものの設定!こりゃ大変です。何が何でも主治医を変えて欲しいと頑張るのだが・・・ドタバタ劇が例のごとく展開される。
そして、その中でちょこちょこと爆弾を落とすような笑いを運んでくるのが、付き添いで登場するオカン。いい味出しています(笑)
もうひとつ気に入ったのは「七夕の旅」。年下の恋人に逃げられた麻衣。同居している認知症の祖父がある日行方不明に。夕方になって見つけ出したはいいが、祖父は麻衣を
亡くなった祖母と勘違いして小さな小袋を渡す。これをきっかけに麻衣は祖父の過去を探ることに。そこには意外な事実がが・・・。
思い出を辿る会津への旅は、昭和21年の夏と交差し、戦争によって祖父の失ったものがクローズアップされる。胸がジンとくる作品である。ほろほろさせられたり、クスッと笑わされたり、短編でも中澤さんならではの世界が覗ける。
サラッと読むのもいいが、やはりジワジワと面白さが増してくる長編がまた読みたくなって来た!次作品はやはり長編を希望!





