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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・あらすじ・感想】麻布怪談:小林恭二

 

 

 麻布怪談:小林恭二著のレビューです。

 

惚れた女の身体がいつもひんやり冷たいってどうですか?

 

山本容子さんの装丁画に惹かれ手に取ったら、「宇田川心中」の小林恭二さんの作品だと知り、シーズン的にぴったりだし、さっそく読むことに。江戸情緒、人間模様、話の展開、設定、どれも充実した内容で、読んでいてずーっと楽しかったです。え、怖くないの? 答えは「微ゾクッ」って感じです。

 

時は江戸。四十路を迎える二ートなぼんぼん・善四郎が、勉学に励むという理由で、大阪から江戸にやって来て、寂れた麻布の家に住むことになった。このちょっと大人になりきれない善四郎のもとに夜な夜な二人の女が通って来るようになる。

 

ひとりは「ゆずり葉」。彼女の本当の正体は「狐」なのだ。齢200歳。容姿端麗でお色気たっぷりの彼女に惹きこまれ、彼女に世話を焼かれながら、快楽を貪り、楽しい時間を
過ごすことになるのだが、そこにもう一人の女性が登場する。

 

こちらは幽霊の「初」。彼女はゆずり葉が不在時に訪ねて来るようになるのだが、
困ったことに彼女と身体を重ねると善次郎はどんどん弱って行き、死へ追い込まれそうになる。

 

 

 

ふたりの女の過去話に惹きこまれる

 

この二人、なぜ善次郎の前に現れたのか?特に彼に恨みがあるわけでもいのだが、どうも彼女たちには過去に深い事情があるようだ。

 

後半はこの二人の過去が明らかになる。特に初の話は悲しいもので、その想いがそのままこの世に居続けていた。この想いの行く先は・・・必見!女性たちの過去は、グイグイ夢中になる展開なのです。

 

舞台設定もなかなか楽しませてくれます。回向院、大奥、遊郭 等々、当時の様子が存分に楽しめます。

 

美女の狐と幽霊に惚れられた男の話ということで、三角関係の修羅場とか執念とか、ドロドロに怖いシーンを想像しちゃいますが、むしろカラッとしている読後感。

 

ゆずり葉姐さんのキャラクターが粋で格好良い。それにひきかえ、善次郎!もう少ししっかりせい!さて、貴方。惚れた女の身体がいつもひんやり冷たいってどうですか?