うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】麻布怪談:小林恭二

 麻布怪談:小林恭二著のレビューです。

 

惚れた女の身体がいつもひんやり冷たいってどうですか?

 

山本容子さんの装丁画に惹かれ手に取ったら、
「宇田川心中」の小林恭二さんの作品だと知り、
シーズン的にぴったりだし、さっそく読むことに。

江戸情緒、人間模様、話の展開、設定、
どれも充実した内容で、読んでいてずーっと楽しかったです。
え、怖くないの? 答えは「微ゾクッ」って感じです。

時は江戸。四十路を迎える二ートなぼんぼん・善四郎が、
勉学に励むという理由で、大阪から江戸にやって来て、
寂れた麻布の家に住むことになった。
このちょっと大人になりきれない善四郎のもとに夜な夜な
二人の女が通って来るようになる。

ひとりは「ゆずり葉」。
彼女の本当の正体は「狐」なのだ。
齢200歳。容姿端麗でお色気たっぷりの彼女に惹きこまれ、
彼女に世話を焼かれながら、快楽を貪り、楽しい時間を
過ごすことになるのだが、そこにもう一人の女性が登場する。

こちらは幽霊の「初」。
彼女はゆずり葉が不在時に訪ねて来るようになるのだが、
困ったことに彼女と身体を重ねると善次郎はどんどん弱って行き、
死へ追い込まれそうになる。

 

 

 

ふたりの女の過去話に惹きこまれる

 

この二人、なぜ善次郎の前に現れたのか?
特に彼に恨みがあるわけでもいのだが、どうも彼女たちには
過去に深い事情があるようだ。

後半はこの二人の過去が明らかになる。
特に初の話は悲しいもので、その想いがそのままこの世に
居続けていた。この想いの行く先は・・・必見!
女性たちの過去は、グイグイ夢中になる展開なのです。

舞台設定もなかなか楽しませてくれます。
回向院、大奥、遊郭 等々、当時の様子が存分に楽しめます。

美女の狐と幽霊に惚れられた男の話ということで、
三角関係の修羅場とか執念とか、ドロドロに怖いシーンを
想像しちゃいますが、むしろカラッとしている読後感。

ゆずり葉姐さんのキャラクターが粋で格好良い。
それにひきかえ、善次郎!もう少ししっかりせい!

さて、貴方。
惚れた女の身体がいつもひんやり冷たいってどうですか?