うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】やめるときも、すこやかなるときも:窪美澄

やめるときも、すこやかなるときも:窪美澄著のレビューです。

やめるときも、すこやかなるときも

やめるときも、すこやかなるときも

 

 

 

好きな人の過去を共有するということ

 

 本作はいつもの窪さんとひと味違う。恋愛小説ということもあり、いつものようなヒリヒリするものではなさそう~なんてのんびり構えていたら・・・やはりというか、どんどん内容はシリアスになり、気づけばあーだの、こうーだの、登場人物たちの気持ちを
考えては立ち止まり気忙しい時間との闘いとなった。

特に今回考えを巡らせたことは好きな人の過去を共有するということについて。

恋人の過去をすべて知りたいという人もいれば、終わったことは終わったことと捉えて知らなくていいと思う人もいる。

本作を読んでいて何がしんどいって、ある人を好きになり始め、これからって夢を持つ楽しい時期にその人の過去を知ってしまったということ。

壱晴と桜子、どちらもアラサー同士。
桜子においては付き合う=結婚を意識せざるを得ない状況下での恋愛だ。

過去に大事な人を事故で亡くした家具職人の壱晴の心の奥底にはいまだ亡くなった恋人が生きている。もちろん桜子との新たな恋愛は前向きに考えているし、女遊びもぴたりと止めた。

しかしそうは言うものの、恋人を亡くしたショックが精神的にも影響を及ぼしているのか?彼は恋人が亡くなった12月になると声が出なくなるという症状を繰り返している。

壱晴は必至で過去のことを吹っ切ろうとし、昔住んでいた町へ桜子を誘う。壱晴の過去を知る人々と接した桜子。聞こえてくるのは昔の彼女の名前。目にしたのは彼女が亡くなった事故現場。たっぷり昔の空気が満ちた町は桜子にとってはキツイの一言に尽きる。

壱晴にとっては過去の出来事に区切りをつけるものだったが、桜子にしてみればそれはそれは重い旅になってしまったわけだ。

とにかくこのあたりの二人の心情描写がツンツン、キリキリとする。重い荷物を降ろす者と、重い荷物を受け取ってしまった者。どちらももがき苦しみ、行く末はあまり期待できない雰囲気であったが・・・。

そんな中二人を繋いでいたものは、壱晴が桜子のために制作している「椅子」の存在だ。そして、大事なもの手離してはいけないということを壱晴に伝え、この世を去った師匠の言葉。ラストは窪さんならではの着地点に心が救われる。

数ある恋愛小説の中で、こんなにも心の動きを丁寧に丁寧に描いたものは少ないのではないかな。だからなのか?自分もどこかこの小説の中の一部になったような心の揺さぶられ方をしていました。

恋人の過去を知ることは、幸か不幸か?特に本書のように若い頃に死別したなんて話だったら、ものすごく戸惑うだろうなぁ。

もし貴女が恋の始まりにこのようなことを知ってしまったら、突き進む?それとも引き下がる?

やはり窪さんの小説はキリリと辛い!
そして、がっつり読書したーという気分を味わえる喜び。
日焼け後の肌のヒリヒリした感じがしばらく続くような読後感も案外好きだったりする。

 

 

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