小さな幸せ46こ :よしもとばなな著のレビューです。
小さな幸せが生まれる場所
小さな幸せに気づける人こそが
本当に幸せな人なのだろうなぁ~と
ばななさんの本を読んで深く思う。
小さな幸せは、個人的なもので、
たいていは口にすることもなく通り過ぎてゆくけれど、
こうして書き留めておくことによって、
さらなる小さな幸せが生まれる。
さらに幸せをキャッチする感度が上がる。
そんなことを感じずにはいられないエピソードが
たくさんあった。
「夜道」という話は、ばななさんたちが夜の道を
ただ歩いている様子が書かれたものなのだけれど、
その空間がすごくいい。
それは一瞬の幸せなんだけれど、これからずっと先の日に
この時に感じた思いを馳せるような静かで穏やかな幸せが
なにげなくそこにある。
ばななさんご自身のことも知れる一冊
わたしは、ばななさんの小説はたくさん読んでいるけれど、
エッセイはほとんど読んでいない。
なので、ばななさんと言えば作品が全てで、
そこからお人柄を想像していた。
今回この本を読んで、ばななさんのご自身のこと、ご家族、
交流のある人々、生活等々、かなり私生活に踏み込ませて
もらった気がします。
そして、ばななさんから聞く話にどこか懐かしさを感じたのも、
ばななさんの生活から感じる気配が、ばななさんの描く
小説での世界にどこか似ているからなのだなーと
深く実感したのです。
ばななさん曰く
「小さな幸せが足りなくなったときに開いてみてください」
不足しているな~と感じたら、どこからでも良いので
一篇読んでみるといいと思います。
徐々に拡張されてゆくような、心が少しふくよかになって、
ちいさい幸せを見つけたくなります。
そして、この本を読んでいる「今」の小さい幸せにも
きっと気づけるはず。