うずまきぐ~るぐる 

読書書評ブログへようこそ!読んだ本についてのあれこれを思いのままにぐるぐるかきます。

降り積もる光の粒 角田光代 

 

部屋に居ながらにして別の空間を思い出す

 

夕方、パソコンで作業をしながらテレビのニュースをなにげなくつけていた。
地元のニュースがひと段落すると、つぎは英語のニュースがほんのわずかな時間流れる。

たった5分くらいなのに、キュルキュルキュルキュルと脳内のテープが巻き戻され、わたしはあの時のホテルの一室で、夕食前の休息を取っている空間にひとっ飛びする。

 

一日がかりの移動、一日がかりの観光。
疲れた足をひきずりながら戻った宿で、思い切り靴を脱ぐ。
夕食までのひとときは、心地よい休息を与えてくれる。

 

言語のわからないテレビをつけっ放しにして、
夜が始まる道をせわしなく往来する人々をぼんやり眺めながら
実感する。

 

「あーここは異国なんだ」

少しだけ手もちぶさたを感じでいるわたし。

 

この時間のわたしはきっとどこにも属さない。あるのは自由だけ。
あいかわらず、テレビからはヒステリックにまくしたてるよう早口で
ニュースを伝えているキャスターの声。高い天井にこだまする。

 

 

角田さんの降り積もる光の粒は、そんな一瞬一瞬のあの場面を
思い出させてくれるエッセイ集。

 

遠く離れたあの空間、あの時間、あの人々が、静かに本の中に
浮かび上がって来る。

 

角田さんの旅の本は、もうひとつのわたしの旅の入り口なのだ。
 

降り積もる光の粒

降り積もる光の粒