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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】箱の中:木原音瀬

 

 

箱の中:木原音瀬著のレビューです。

 

☞読書ポイント 

純粋で一途な気持ちでい続ける強さと怖さ、反対に、愛情を知ることによって得られる成長や幸せとはどんなものなのか....。ふたりの男を通して見えて来る「愛する」「信じる」ことの奥深さに思わずうなってしまうBL小説。

 

感想・あらすじ 

BLってだけで、読書の対象外にしちゃっているってことはないですか?もちろん、苦手ならしょうがないのだけど、読まず嫌いの方も結構いるのではないかと思う。これはBLに限った話ではない。例えばわたしはSFが苦手で、話題になっている本でも余程のことがない限り手を出さない。でも、こころのどこかで「ものすごく損しているかも?」って思うことがある。

 

「箱の中」はBLなんだけど、読まないのはちょっともったいない、いや、かなりもったいと言わせてもらいますっ!私自身、いわゆるBLと呼ばれる小説は2冊目。あとでもう一冊の方もおすすめさせていただくが、その本もものすごく感動しちゃったわけで、BL小説とは案外相性がいいのかも?と思い始めている。

 

そんなことはさておき、興味はあるけど大丈夫かな?と迷っている方は、是非、本書の「解説」から読んでもらいたい。書いたのは三浦しをんさん。「BLってなんぞや?」ということから、本書の魅力に関することや、読書に対する姿勢なのがざっくばらんに語られている。とにかく読書の幅を自ら狭めてしまうことは非常にもったいないと、改めて気づかせてもらえる。しをんさんの解説をパラ~っと読んでみて、いけそうだったら迷わずGO!です。

 

 

 

 

前置きが長くなってしまったので、あらすじはちょっと引用します。

堂野崇文は痴漢と間違われて逮捕されるが、冤罪を訴え最高裁まで争ったため、実刑判決を受けてしまう。入れられた雑居房は、喜多川圭や芝、柿崎、三橋といった殺人や詐欺を犯したという癖のある男たちと一緒で、堂野にはとうてい馴染めなかった。「自分も冤罪だ」という三橋に堂野は心を開くようになるが、あっけなく裏切られる。ふたたびふさぎ込んでしまった堂野。母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川が堂野に与えた優しさは、生まれて初めて喜多川に芽生えた「愛情」だった。

 

本書は3部構成になっている。1部は刑務所の中の話。2部は出所後、喜多川が堂野を探すために探偵を依頼する話。3部は喜多川と堂野が再会する話。.....という流れになる。

 

とにかく喜多川って人物から目が離せなくなるのはなんだろう。愛情を知らず、教育もままならないまま大人になった彼が、堂野を慕い、やがて異常なほどのめり込むさまは、ちょっと恐ろしさを感じずにはいられないのだけど、その反面、無垢な一途さが苦しくなるほど伝わって来て切なくなる。ぶっきら棒だけど絵が上手だったり、子供に優しい喜多川。しかし、彼は殺人という犯罪歴があるだけに、読者も彼に対し「大丈夫か?」「いつかまた...」というよからぬ想像をしてしまう。

 

そんな喜多川は先に出所した堂野の居場所を探すために探偵事務所に依頼をする。決して安くない探偵料金であったが、喜多川は朝夜働き続けてでも堂野を探し出そうと執着するのだが、そこでもまたひと問題起きる。その後、なんとか居場所が見つかるのだが.....。

 

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第2部まではこんな感じで進むのですが、3部がまた思いも寄らぬ方向へと話が進む。もう何というか、、、、でも、、、、。と、ネタバレしたくないので書きませんが、最終的に喜多川のささやかな夢が叶うかどうか?そこを目指して読んでみてください。

 

 

 

 

感想もあらすじも最小限にとどめています。気になるBL的な激しいシーンも要所要所入っていますが、本作の軸になる部分ってそこじゃないし、それよりも大事なことが他にもたくさんあるので、個人的にはさほど気になりませんでした。

 

とにかく純粋で一途な気持ちでい続ける強さと怖さ、反対に、愛情を知ることによって得られる成長や幸せとはどんなものなのか....。また、人間の狡さ、信じることの難しさ等、本書は喜多川と堂野が次々と私たちに突きつけてくるような展開でした。

 

最後に。三浦しをんさんの解説で知ったのですが、

堂野と喜多川のその後が気になるかたは、ノベライズ版「檻の外」(蒼竜社)に収録された短編「なつやすみ」もぜひお読みになってほしい。堂野と喜多川が、堂野の妻と子どもが、どういう人生を歩んでいるかが描かれる。これはもう、読み返すたびに涙が怒涛のごとくあふれる傑作だ。

早い話、「本書だけでも十分素晴らしい内容ですが、この物語はノべライス版に収録された「なつやすみ」をもって、本当に完結すると思う」.....とのことです。

 

余韻に浸っていたところに、「おぉ!!」となる。その後を知りたいに決まっているじゃないですか!なにか最後の最後に来て、しをんさんから再入場の切符を手渡されたような気がして、再び気持ちが活気ずく!\(^_^)/ヤッタ~

 

ノベライズ版はこんな感じです。こちらは一気にBL感満載ですね。

檻の外 (Holly NOVELS)

檻の外 (Holly NOVELS)

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木原音瀬プロフィール

不器用でもどかしい恋愛心情を生々しく鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてBL界の芥川賞と評され、話題となった。『美しいこと』(上・下)は舞台化され好評を博し再演(Amazonより)

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