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【レビュー】「昔はよかった」と言うけれど 戦前のマナー・モラルから考える:大倉幸宏

 

 

 「昔はよかった」と言うけれど 戦前のマナー・モラルから考える:大倉幸宏著のレビューです。

 

日本人のマナーは確実に改善されている

 

ご年配の方に「最近の若い者は」とか「昔はよかった、もっとまともだった」的なお小言を言われたら、ササッとこの本を差し出し、是非読んでもらいたい。きっといろいろ思い出して、だんまりするんじゃないだろうか。

 

と、ちょっと攻撃的な感じになってしまったけど、本書を読むと「まぁー昔はマナーが悪い」ということが一目瞭然、今の状況を考えるといかに昔は酷かったかが分かる。

 

考えてみたら私が通学していたころは、駅構内も決してきれいな駅ばかりじゃなく、たばこのポイ捨てはたくさんあったし、ケチャップかなにかの大きな缶からは、消し損ねたたばこの煙がモクモクとホームに漂っていた。おじさんたちのペッペッもそこかしこにあったものだ。今では信じられない光景だったけど、本当にあの頃はそれが普通だった。ここ数十年でマナーは飛躍的に改善されている。

 

 

 

しかし、わたしが覚えている昭和後半なんてかわいいもの。戦前戦後、明治へと辿ってみると、そこにはもっとにひどい状況が記されていた。特に公共における秩序のなさと言ったら!

 

ちょっと前に電車の中で化粧をしている女性のことが取り上げられていたけれども、化粧なんてまだまし。当時男性は半裸、女性はさすがに裸の人の記述はなかったそうですが、肌襦袢一枚になる人はいたそう。今やったら逮捕ものですよね。

 

どこでもポイ捨ては盛んだったせいか、衛生面もかなり深刻だったよう。公園も河川も、ひいては公衆浴場なんかも非常に不衛生であった。もうね、眉間にしわを寄せながらずっと読んでいましたよ。

 

「昔はよかった」----こんな事実があったにもかかわらず言えてしまうのは、人間って、昔を美化し、よかったことだけを覚えている生き物なんだなぁとつくづく思いました。日本は清潔な国っていうのも、こういう歴史を経てようやく整ってきたものだということも実感しました。

 

本書は公共に関するマナーやモラルだけでなく、児童虐待や職業人たちの犯罪、高齢者と家族関係なども記載されている。このあたりは現在と対比しながら読みました。というか、もし昔を生きていたら、自分の年齢はそろそろ寿命の域なのか~と、読んでいて他人事ではいようなちょっと怖い気持ちにも。

 

とにもかくにも、公共施設はきれいになり、人々のマナーもよくなった今で良かったって思います。呆れながらも、いろんなパターンが見られて面白かったですよ。