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【感想・あらすじ・レビュー】草花たちの静かな誓い:宮本輝

 

 

 草花たちの静かな誓い:宮本輝著のレビューです。

草花たちの静かな誓い

草花たちの静かな誓い

 

 

感想・あらすじ 珍しくミステリー調の宮本文学

(ネタバレなし)

宮本さんの小説を読むとなにかしら満たされるものを感じる事が多かったのですが、今回は初めから終わりまでなんとなくどんよりしちゃっていたなぁ・・・。

 

本書は宮本作品には珍しく推理っぽい要素が含まれた内容でした。助走が長いわりにある程度の結論は途中で判ってしまう。しかし、確信が持てずズルズルと引きずられるように最後まで読み耽るといった感じでした。

 

舞台はロサンゼルスの高級住宅地。叔母の菊枝は日本での旅行中に急死した。

甥の小畑弦矢は莫大な財産を相続することになったのだが、叔母にはかつて生き別れになった娘が居た。

 

弦矢はロスにある亡き叔母の豪邸を訪れ、そこから過去に起きた叔母親子の謎を解明しようと、生きているのかも分からない娘の行方を探る。

 

 

 

 

叔母に関わっていた人々との新しい出合いにより明らかになっていく叔母親子の悲しい過去の出来事。

 

なんとなくモヤモヤしながらも、宮本さんの描く美しい情景描写に心が潤う。特に叔母さんの豪邸の庭に咲き乱れる植物の数々は表題を象徴するかのように、小説内で大切な存在として活かされている。

 

またスカンクを車でひいてしまうとどうなるのか?など、ちょっと日本にないようなネタも織り交ぜられ、決してつまらないわけではない。けれども、なんとも実感が湧かないふわっとした小説に感じたのは、やはり遺産45億円という数字があったからだろうか?

 

どんなにお金があっても解決できない問題。どんなに離れて生きることになっても残るあの時の言葉。やるせない気持ちの中にほのかな灯りが最後にともったようなラストだったと思う。

 

がしかし、やはり宮本作品はミステリーよりストレートな人間ドラマのほうが個人的には好きだなぁ。

 

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