おはようスーちゃん:ジョーン・G.ロビンソン著のレビューです。
スーちゃんの日常は好奇心に満ちている
─────きゃべつ、にんじん、たまねぎ、オレンジなど、
やさいと、くだものが山のように積んであります。
荷車をひいた馬が、やさいを売りに来る。
げんかんの呼び鈴が鳴ると、それはやおやのグリンさんが
やってきた合図なのです。
スーちゃんはおかあさんに頼まれ、お使いをしに外にでます。
頼まれたもの忘れないようになんとか無事に注文して
買えたはずなのに・・・・
そう、スーちゃんの目はすでに馬に釘づけ!
おじさんに許可を得て、買ったものを次々に馬にあげちゃうのです。
しかも、おじさんに馬に乗せてもらいご機嫌です。
あーあぁ、
お買いものしたものがなくなってしまったけれども大丈夫?
・・・なんて先回りして、このあと起きることを想像し
ギスギスした自分をよそに、物語の中の人びとはどこまでも
大らかな気持ちでスーちゃんに接するのです。
スーちゃんの行動を見て「叱られちゃうよ」なんて考えてしまう
シーンに出合うのですが、ここに居る人びとは私みたいに短絡的ではなく
もっと大らかな気持ちで子供たちの世界を見守っていることに
気づかされるのだ。はぁ、、修行が足らんなぁと(笑)
駅のホームの花壇に目を向けたり、
お母さんのお誕生日に香水を作ってあげたり、
パパとお留守番をしてお母さんが驚くことを用意したり、
犬がおうちにやって来たり。
スーちゃんの日常は好奇心に満ちている。
それを優しく見守る大人たちには愛が満ちている。
だから、
スーちゃんの日常からは、優しさが生まれては育ってゆく。
なんとなく自分の中で少しずつ日々削られていっているものに
気づかされるような本だったなぁ。
こころがひと回りふっくらしたような読後感でした♪
中川李枝子さんの訳本ということで興味をもった一冊です。
シンプルな挿絵が素敵で、合わせて愉しめるお得感!