皿洗いするの、どっち?:山内マリコ著のレビューです。
ご主人も反撃してくるちょっと変わったエッセイ!?
山内さんご自身の彼氏さんとの同棲生活から結婚までの日常を綴ったエッセイというか愚痴集のような一冊。
いやーもう、ぶちまけていますよ、山内さん。アラサー女子の鬱屈した細かな結婚問題等を小説化されているだけに、一体山内さんはどんな生活をされているのだろう?と興味があったわけだが、なるほどなるほど、結構な感情起伏の激しいご様子が窺えました。
同棲も結婚もあくまでも男女の家事等の負担は平等にを目指す山内さんの日常は結構な怒りに満ちています。
どのエッセイにも彼氏さんが登場。そこで「ん?」と気づくのが彼氏さんの言葉使いが「オネェ」(笑)後に「オネェ」ではないということが書かれていますが、彼氏さんはお高くて、細かくて、手厳しい方だという。
ご本人も女性のファッション観察なんかが好きで、意見も言うなんてことをおっしゃっているので、美意識の高いオネェによくいるタイプなのでしょう。(顔はさかなクン似らしい)
そんな凸凹コンビのお二人の日常から見えてくる鬱憤が文字となって爆発する。山内さんの怒り露わなエッセイを何篇か読んだところで、彼氏さんの反撃?弁解?とも言える「男のいいぶん」というコーナーが登場する。
山内さんの意見に多大なる共感をしてきたはずの女子たちも、もう片方の言い分を聞くと「どっちもどっち」という言葉が浮かんでくることだろう。
本書は彼氏さんがこうして登場したことによって、単なる女の愚痴を集めたエッセイというものとひと味違うものになっています。
まぁ、なんだかんだ言って仲良し夫婦だし、半分愚痴、半分のろけといった雰囲気です。私は楽しく拝読しちゃったけど、ここまで晒しちゃった山内さんに対する印象も少々変わりました(笑)
数十年後、このお二人の役割分担等、どう変化してゆくのか、それが小説にどう影響していくのか?そのあたりを今後も見守っていきたくなりました。とにもかくにも、ご結婚され益々のご活躍を!と願っております。