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【レビュー】さよなら、ニルヴァーナ: 窪美澄

 

 さよなら、ニルヴァーナ: 窪美澄著のレビューです。

さよなら、ニルヴァーナ

さよなら、ニルヴァーナ

 

 

ヒリヒリとした痛みが永遠に続くような小説

 

新刊が出たら必ず読もうと思っている作家のひとり窪美澄さん。
事前情報を知らず読み始めたら、「元少年A」の話ではないですか。

もちろん小説ですから、あの事件をそのままなぞったものではないが、参考文献からも、あの事件をもとに描かれたものである。

 

とにかく重い。
窪さんの作品は、前へ前へと進みたくなり一気に読めちゃうものが多かったが、今回はそういうわけには行かず、精神的にむちゃくちゃ困惑し、ラストを知るためには残酷なシーンはもちろん、登場人物たち各々の感情と向き合わなければならないがゆえに、重い、辛い、苦しい。

 

結局、読了まで1週間まるまるかかってしまった。

 

主要な登場人物は4人。

犯罪を犯した少年。
その少年を崇拝する少女。
少年に娘を殺された母親。
この事件を追う小説家。

 

一見なんの結びつきのない人びとが、少年Aの現在の情報や噂を知り、彼の居所を探るうちに関係が絡みあってくる。

 

少年の生い立ち、母親との関係、カルト集団、犯行現場の様子など、細かく丁寧に描かれている。また、娘を殺された家族の、何年も癒えぬ深い心の傷も重苦しいほど伝わって来る。

 

誰が悪い、何が正しい、どこで間違ったのか、どうしてそうなったのか、なんで会いに行くのか。そんなことを探るのも虚しくなるほど、ひとりひとりが背負ってしまった運命の重さを、ただただ眺めていることしかできない自分が残される。

 

読み手が精神的に大きく疲弊する小説。
これを書かれていたときの窪さんの精神状態はどうだったのであろうか。


一体どこに救いを求めていたのだろうか。

本書に出て来た小説家は窪さんご自身の心境なのだろうか。
そんな気がしてならない。

 

傷口をどんどん抉られ、ヒリヒリとした痛みが永遠に続くような小説であった。