うす灯(あかり): 田村理江著のレビューです。
感想: 百年の時を経て、ようやく会えた愛しい愛しいあの人
百年たって、ようやく愛しのあの人と再会を果たす物語。そんな話が可能になるのもこの話の舞台が骨董屋だからこそ。
ロマンスだなぁ~。しかし、この話は人間の話ではないのです。ずっと昔のセルロイドの靴のぼくと、ビーズ刺繍の靴のミス・ビーズとの、待ちに待った再会の話なのだ。
彼らは1888年、アメリカのとある町の靴屋にいたのだ。ぼくは靴屋の宣伝ボーヤとして飾られていた。本当なら胸を張れる立場なのに、ただの飾り物で売られることはないぼくはいつしか自分が役立たずだと感じる。
そんなぼくの愚痴を聞いてくれていたのがミス・ビーズだった。そして、ぼくは彼女に恋をするのだ。
ぼくはずっと彼女と一緒にいたかったけれど、やがて彼女は売られてしまう。彼のつらい気持ちを感じ取った店主は、二人が一緒にいられるようある提案を彼にする。そして、彼は靴からある物へと生まれ変わる決心をする。しかし・・・・。
結局、彼は彼女と一緒にいることが出来なったのだが、それぞれの人生を送り終え、この骨董屋で感動的な再会を果たすのだ。嗚呼、なーんて、ロマンチックな話なのだろう。
人間の話ではないのに、お姫様を探している王子の話のような雰囲気というか・・・。読み終わるとうっとりするような。
主人はロイド眼鏡をかけた男性だ。この「忽然と現れる不思議な店」の話って、
児童書には多いですねぇ。この話も、設定自体は単純なものだけれども、何とも言えない雰囲気があり、またアイテムが骨董品ということから、大人にもしっかり楽しめる
作品になっている。
あー、あの時買っておけば良かった・・・。骨董屋のウインドウに飾られていた小物をつい最近買い逃した私。誰もこんなもの買わないだろう~って思っていたのに・・・
しょんぼりモードは数日続いた。
売られている骨董品もまた、突然目の前に現れて、気づくと消えているような物。その時を逃すともう二度と会えないことがほとんどだ。だからこそ百年の時を経て、再会した靴の話は、本当に縁を感じるしロマンチックだなぁ~とうっとりしてしまうのであった。
★ 短編集です。これ以外にも骨董品をめぐる素敵な話がたくさんあります。





