よくできた女(ひと) バーバラ・ピム著のレビューです。
おひとりさま小説の外国版
30代独身女性の日常を描いただけなのに、なぜにこんなに面白かったのだろう。主人公のミルドレッドは30すぎの独身女。両親も亡くなり、パートしながら地味な生活を送る彼女ではあるけど、教会での活動を通して知り合った仲間や牧師姉弟、また学生時代の友達との交流が盛んで、決して孤独な雰囲気はない。
そんな彼女の生活に同じフラットに海軍将校の夫、文化院類学者の妻という夫婦が引っ越してくる。この夫婦、どちらもちょっと曲者で、二人の痴話げんかや別れ話にまんまと巻き込まれてしまうミルドレッド。
大きなお世話的な言葉を投げかけられたり、いいように利用されたり、好きでもない男性に勘違いされたりと、何かと不憫に思われるシーンもあるのだけど、この小説ならでは、悲壮感はそこにはなく、そんな会話の数々がむしろ面白い。
シンデレラストーリーではないけれど
彼女の周りにいる伴侶持ちは、縫い物が苦手な女性であったり、洗い物をしない女性であったり。ミルドレッドのようにそこそこ家事をこなし、分別のある「よくできた女」ではないという皮肉な感じ・・・こういう話ってよく聞くよなぁ・・・(笑)
大きな事件も、ミルドレッド自身が素敵な伴侶にめぐり会えるというようなシンデレラストーリー的な展開があるわけじゃないけど、だからこそ妙にリアリティがあり、親近感がもてる作品だ。
独身者のもつ心のゆれを常に抱え、戸惑いながらも自由を謳歌しているミルドレッド。
今も騒がしい周りの人々に巻き込まれながらも、忙しく飛び回っている姿が心に浮かびます。がんばれ、ミルドレッド!





