Web Analytics Made Easy - StatCounter

うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】ぼくは青くて透明で:窪美澄

 

 

ぼくは青くて透明で:窪美澄著(文藝春秋)のレビューです。

☞読書ポイント 

児童書にBLが加わったようなテイストの小説。家族の形、親子の形、愛情の形を、登場人物たち各自の視点で語られる。異性愛、同性愛、本当の自分は誰と一緒にいたいのか。思春期の少年たちを通して「自分にとって本当の幸せ」を掴み取ろう。

 

ぼくは青くて透明で (文春e-book)

ぼくは青くて透明で (文春e-book)

 

感想・あらすじ 

窪さん、またまたチャレンジ?私的にはYAジャンルと感じましたが、今回はそこにBLが加わった感じです。時代の流れ、多様性が叫ばれる中、ぼちぼちこういう作品も出て来る予感はしていました。

 

今回は家族って?親子って?好きになるって?などの問題を次々に突きつけられます。特に親ってこんないとも簡単に子を置き去りにできちゃうものなのか?って。このあたりの設定は、窪さん容赦ないです。

 

 

 

 

登場人物は、主人公の海、父の緑亮、後妻になった美佐子、海の同級生・忍、璃子。彼らの視点で各章が語られる構成です。物語の軸は、海の家族の問題と学校生活と恋愛。これがまたどれも胸の痛む内容でヒリヒリ感が強い。

 

海は父親の緑亮と一緒に暮らしている。母親は子を置き去りにして姿を消した。緑亮は得意先の美佐子と知り合うことになり、やがて結婚に至る。美佐子は海のこと心から可愛がり、海も美佐子を実の母親より慕い、なんでも話せる関係でいる。

 

前半はよくあるシングルファーザーとシングル女性の恋愛からの結婚。ステップファミリーを築き上げる家族の話なのかな?なんて思っていた。しかし、父親の緑亮は、やりたいことがあるとのことで二人を置いて姿を消す。

 

(本文より)

切なすぎる海のひと言。海の両親に対して「なんなん?お前ら!」って、やるせない気持ちで一杯になる。二度も海を置いていくなんて。幸い継母の美佐子さんが本当に優しい人で良かったとは言え、これはない。

 

そしてもうひとつ、海の恋愛。彼はマイノリティで、同級生の忍と恋に落ちるのだが、田舎町での理解はまだまだで。ここでは生きづらいと、二人は東京へ出て行くことになるのだが、東京暮らしで全てが上手くいったかと言えばそうでもなく、異性愛の恋愛でも起こり得る嫉妬や互いの家族に関する問題が勃発。二人の歯車はどんどん噛み合わなくなり.....。

 

 

 

 

BLと言うとちょっと身構えてしまうかもですが、異性愛の恋愛でも起こり得る感情なので、私的にはBLだからという特別感はなく、けど、親子関係の方はどうもモヤモヤする。海の両親はもちろん、忍の両親も色々となぁ....。

 

ということで、BLを取り入れなくても良かったかも~って思わないでもない。(いや、窪さん的には、こっちがメインだったのかもしれないけど。)

 

ラストはいつも通り希望が見えてくる良い雰囲気で終わってはいるけど、意地悪おばさんから見ると「まだまだ二人には試練が待っているだろう。がんばれ若者!」と思いながら本を閉じました。

合わせておすすめ

「タオルと卵は、いつも新しいものをね」―幸せな家にはこれが欠かせないってね!些細なことだけど大事だなぁ。この本も複雑な家庭で育ったこどもたちの話です。