鳥肌が:穂村弘著のレビューです。
穂村さん、ご自分の人生を四文字で表すとしたら「びくびく」
タイトルからゾッとする話なのだろうと想像はしていたけど、
まずは読む前から「ゾクゾク」とさせられるのだ。
というのも、表紙の女性像全体に、うっす~~ら
イボイボ状の突起物が施されている。
うわぁー、なんでこんなとこに!
気持ちを改め読み始めるも数分後。
なにかが、わさぁ~~~と手の甲をかすめる。
なんだろう?と見たら、ほっそ~~いピンクの糸が!
なんじゃこの糸は・・・ってこれ、栞の紐(スピン)じゃん!
ほっそい糸三本!すげー不気味!
思わず「穂村め!」と意味もなく本を睨みつけちゃいました。
・・・ということで、もうなんだか仕掛けが激しく、
妙な猜疑心がムクムクと沸き起こる状況下での読書となる。
内容はと言うと、日常のささいなことから起こる
「怖い」を集めたもの。
あちこちに潜む小さな怖さはビビリーな人々を大いに悩ます。
・ホームの列の一番先に立たない
━私もそうです。そういう人結構居るんですね~。
止む無く先頭になった場合は足を踏ん張っています。
先頭車両に乗らないのも同じく(笑)
・小さな子供と大きな犬が遊んでいるのを見るのがこわい
━これも解る!アマ●ゾンのCMは心温まる反面、内心ドキドキ。
色々なケースを読んでゆくと、自分も相当ビビリーな人だと
笑っていられなくなる。
一番穂村さんに共感したのは、「体重計に乗る時、必ず服を着ている。」
ことだ。ちょっと体重が増えても「服を着ているから」という言い訳が
出来るから。
そう、身ひとつで体重計に乗るなんて危険極まる行為です(笑)
もう本当バカだなーって思うんですけど解る、解る!とニンマリ。
穂村さんと言えば短歌。
様々な方の短歌を引用して「怖さ」を引き立てている。
嫁として帰省すれば待つてゐる西瓜に塩をふらぬ一族 本多真弓
西瓜に塩を振るか、振らないか。
これまでは単なる夫婦間での違いと思っていたことが、
実は個人の嗜好ではなく血とかDNAに関係してたということか・・・と、
帰省し、「よそ者」感を味わうといった怖さ。
体がぐんにゃりする怖さがたまりません。
笑えるものから、無表情になるものまで、変化に富むエピソード満載です。
ちなみに穂村さん、
ご自分の人生を四文字で表すとしたら「びくびく」だそう。
ページのあちこちからびくびくしている様子が伝わってくる震える一冊!