デラックスじゃない:マツコ・デラックス著のレビューです。
デラックスじゃないマツコの魅力
初めてマツコさんを見たときの、あの強い衝撃は今でも忘れられない。見た目のインパクトはもちろん、話す内容は攻撃的でありながらも頷いてしまうことも多く見終わるころにはなにかすっきりした感じが残る。
あの頃のマツコさんは今よりずっと何事にも怒っていた。いや、今のマツコさんだってそうなんだけれども、もっともっと不満顔全開で(笑)
本書を読むとこれまでの彼女の歩いてきた道のりが見えてくる。がむしゃらに仕事を見つけ頑張りました!というより、あくまでもその時々の流れに任せて、与えられたことはきっちりやる。この積み重ねが今の彼女を作っている。
一見それは楽な道のようにも感じるが、これってマツコさんならではの謙虚な姿勢と物事に対する柔軟性があったからこそ成し得たことだと感じさせられる。
マツコさんにとって中村うさぎさんの存在は大きい。彼女がマツコさんに投げかけてきた言葉の数々は心を射抜くような厳しさと愛情を感じさせられる。
現在、過去、未来。あのころのマツコ、今のマツコ。行ったり来たりしながら、画面で見る彼女と化粧を落とした日常の彼女がカチッと繋がってゆくような一冊でした。
マツコさんの本は読んでいるというより聴いている感覚だ。口語体で書かれているからかな。マツコさんの声と口調がどんどん身近に感じられ、まるで一対一で話しているような密着感が半端ない。口調が移ってしまいそうだ(笑)
いつもテレビを見ながら「あー、分かるなぁーそれ!」と思うことが多い。
いくら怒りを露わにしても、毒を吐いても、ちっとも嫌な気分にならないのは、彼女の根底にある意外にも古風で堅実な部分、それに身の丈をきちんとわきまえている部分を見ているからかもしれない。
調子に乗ってとんでもないことを言いそう・・・に見えても一線を越えることはない。
最近は老化のネタも多くなり、ますます共感することが多い(笑)今後もテレビを通して、「わかるー」と呟きながら、デラックスじゃないマツコさんを応援したい。





