佐渡の三人 :長嶋有著のレビューです。
感想
「納骨」の話なのに、読みながら小さく笑っている私がいた!
徐々になんですけど、読んでいるうちに不思議な魅力を感じてしまう小説でした。それもこれも、登場する人物たちのなんともゆるりとした様子、しかし、決してゆるりとしているだけでない個性を発揮させ、読者を引きこむあたりが、ちょっと今までにない人々で見どころが多い。
小説の内容は、身うちが亡くなり、佐渡に納骨をしに何度も足を運ぶといったもので、これといって特徴があるわけではない。
しかし、お骨をユニクロの袋に入れていたり、勝手に戒名を決めてしまったお婆さんが居たり、二ートの弟が葬式の場数を踏んでどんどん与えられた役割をスムーズにこなせるようになったりと、実際あってもおかしくないようないや、ないな!というような、
小笑いが盛り込まれている。
とにかくこの話の面白さはやはりこの家族や親戚の様子に尽きます。みんなマイペースで、自分の生活を淡々と生きている。弟が二ートであっても、それをアレコレ言う人もいないし、お節介な親戚も居なそうだ。
納骨とかお葬式とか、テーマがテーマなだけにシビアになりそうなものの、そんなピリピリ感がまったくなく、むしろのんびりした感じに身をゆだね、「んふふふ」と小さく笑いながら読み進めていました。
装丁のゴツゴツした感じから、骨太な小説なのかと想像していたのですが、全然そんなこともなく、ちょうどこの人々に慣れて来たあたりでサラリと終了。とても読みやすかったです。





