三月ひなのつき:石井桃子著のレビューです。
母と娘、それぞれが持つ雛人形へ向ける想いがどちらも愛おしい
間もなくひな祭り。
その昔、学校から戻るとお雛さまがすでに飾られているときもあれば、休日に親と一緒に飾り付けるときもあった。箱のふたを開け、やわらかい紙に包まれたお雛様の姿が見えはじめると、なんとも言えない満ち足りた気持ちになったものです。
「三月ひなのつき」は、とても素敵な母と娘の雛人形にまつわる話です。
今ではネットでも雛人形が買えるご時勢ですが、本書は自分だけのお雛さまをなかなか買ってもらえず、寂しい想いを裡に秘めていた一人の少女が、唯一の雛人形に出会うまでの話を綴ったものです。
もちろん、おかあさんもこのことをずっと気にはしているのです。おかあさんはおかあさんなりに雛人形に対して強い想いを持っている。なにせ自分が大切にしていた雛人形が空襲で焼かれてしまったという悲しい過去があったのですから。
だから・・・それと同じように大事に出来る雛人形を探していたのだけれども、規格品のものからそれを見つけるのは難しい。
しかし、娘のよし子は近所のスーパーで飾られていた雛人形を見て、「早く自分のものが欲しい」と願うのだが、なかなか母親にそのことを告げられないでいる。
そんな想いがついに溢れてしまい・・・「安っぽい、金ぴかのであたしはいいの!」と泣きながらおかあさんに訴える。その姿が本当にいじらしく、「うん、そうだよね、うんうん、そうだよ」と思わず私ももらい泣き。
おかあさんは娘を抱きしめ、その想いをしっかり受け止める。このシーンはとても印象深い。親子関係の温かさがね、本当に強く伝わってくるのです。
さて、よし子の元へやってくるお雛様は?これがまた素晴らしい過程を経てやってくるのです。
お雛さまに向けるおかあさんの想い、娘の想い、どちらの想いも愛おしく、とても心に染み入る話です。こういう気持ちが後の世代に受け継がれてゆくといいなーと。なんでもすぐ手に入ってしまう世の中だからこそ。
そして、乙女たちよ!どんなに忙しくたって、いくつになったって、面倒がらずにひな祭りは雛人形を出してあげようではないか。お雛さまはきっとあの頃の無垢な貴女を蘇らせ、華やかな空気を運んできてくれるはず☆彡・・・ということを、気づかせてくれる1冊でもありました。
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ここ10年くらい豆雛を集めていて、毎年すこしずつ仲間入りした
小さいお雛とともに春の入り口を愉しむようになりました。
お雛さまを飾る時間の華やいだ気分は大人になったらこそ
味わえるものがあります。

節分が終わると出てくる方々。毎年飾り方が変わる。
ちまちま賑やかにするのが楽しい。

今年は貝合わせ雛が加わりました。昨年バザーで入手したもの。

大内人形雛。うちにはなぜだかこのカップルが集まってくる。




