えびす聖子:高橋克彦著のレビューです。
◆ひとつひとつ制覇していく感じがRPGっぽいです
古本屋さんでこのインパクトのある装丁が目に入り、
「古事記」を絡ませた話のようだったので読んでみることにした。
一人の村の青年シコオが、鬼退治に出かける話で、
「桃太郎」を彷彿させられるような内容。
「因幡の国を目指せ。」というお告げに従い出かけると、
そこには同じお告げを聞いた者たちがたくさんいることが
分かってきます。
その道中には様々な試練が用意されている。
いくつもの試練を仲間たちとともに知恵を出し合い、
力を合わせて進んで行く。
仲間たちとシコオが試練を乗り越えるごとに団結が強まり
人間として成長していくあたりがページを追うごとに感じられます。
見せ場はなんといっても最終場面。
黄泉の島へ行くまでに、次々に襲ってくる洞窟内に潜む蛇や蜂などに
果敢に向かっていくシコオ。
そのシーンは古事記の中で描かれている映像が
私の中でワァ―と広がりました。
そして、クライマックスまで正体がわからない「鬼」は
一体何ものなのか。
ひとつひとつ敵を制して行く感じ、仲間や武器の使いこなし等々、
読むRPGっぽいノリです。会話ベースで進んで行くので
より一層そんな雰囲気に思えたのでしょうか。
ゲームがそうであるように最後のシーンを見るまでは…
という気持ちにさせられます。
最後に里中満智子さんの熱い解説が待っています。
要所要所に古事記が絡まってくるのが面白い1冊。
個人的には中だるみが出ましたが、最後まで読む価値はありました。