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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】東京幻想作品集:東京幻想

 

 

東京幻想作品集のレビューです。

 

東京幻想作品集

東京幻想作品集

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☞読書ポイント 

 いつもの風景に人が居なくなったら?24時間、人の動きが絶えない東京の風景。でもなにか様子が違う。幻想なのか?それとも、未来の姿なのか?ページをめくりだしたら止まらない。あなたの知らない東京の世界へ。

 

知っているけど、まだ見ぬ風景

 

なかなか順番待ちで読めなかった1冊。この本を知ったのはコロナでステイホームが叫ばれていた時。何が何だかわからない怖さの中でこの本の存在を知った。なぜかあの時、この表紙の絵にものすごく惹かれたのは、こんな幻想的なよく分からない世界に逃避したかったからだろうか。

 

そして今。ようやく回って来た本をワクワクした気持ちで開いてみた。

パラッ、パラッと本をめくる音が続く。心の中は「......。」

 

なんというか、結構衝撃的です!ようやくこの世界に慣れて来ると、「一体わたしはなにを見ているのだろう?」と思い始める。

 

どこも知っている。あの建物も、あの駅も。でも、でも.........。

 

目の前に現れた東京の風景には人がいない。きっと大地震か何か大きな災害が起きたのだろう。その後何年くらい経つとあんな風景になるんだろうと考えてしまうほど、自然が戻りつつある東京。木や植物が生い茂り、水が流れ、放牧されたようなのんびりした動物たちがいる。上野には動物園から出てきたパンダもいる。

 

そうかと思えば、まるで工業地帯になってしまったかのような渋谷の風景が現れる。ここも誰もいないのだけれど、もくもくと煙は上がっている。これは一体どういうことなのだろう。

 

人が作った街に人がいない風景の違和感。でも人がいないからこそ戻って来た自然のどうしょうもない美しさがここにあり、どんな状況でも動植物が生きていく強さを感じずにはいられない。

 

  

 

後半にはちょっとファンタジックなものも。

電車の中に何か居る。何か判らない得体の知れないものは?

――知ったところで何になるんだろうとそのページから脱出。

 

まったく知らない場所じゃない分、もしかしたら、わたしたちが居なくなったらこんな世界になるのかもしれないという想像が可能。だから余計に胸に迫るものがあった。

 

とにかくものすごい異空間でした。本と向き合っている時間は、他の音や物が一切入って来なかった気がします。そのくらい惹き込まれたんだなぁと。イラストを眺めながらこれほどいろんな想像を巡らせたことは珍しいかもしれない。何が起きたのか考えている時間がやたら長かった。

 

最後にいろんな東京の姿を見たけれど、特に印象的だったのは世田谷線かな。次回乗る機会があったら、確実にこのイラストをかぶせて駅の風景を眺めてしまうだろうなぁ。

 

ということで、待った甲斐がありました。期待通り、すごい幻想的な世界を体験させていただきました!なかなか他にない魅力的な一冊です。

 

【つなぐ本】本は本をつれて来る

*こちらは深夜1時の東京

夜が深まった東京。人はこの時間に、何をしながら何を考えているのか?様々な感情を抱えながら生活する人々のひとこまが愛おしくなる小説たち。

 

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