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【レビュー】謎の毒親: 姫野カオルコ

 謎の毒親: 姫野カオルコ著のレビューです。

謎の毒親

謎の毒親

 

 

うーん、うーんと唸りながら真相を探るも・・・

 

わーい、これはわけがわからん話だぞーと、大声をあげたくなる。

謎です。謎です。
毒親だ、毒親だ。

タイトルそのまんま過ぎるのだ!

 

ある程度世間というものが見えて来たころ、「え?みんなんちは違うの?(オロオロ)」という経験、みなさんも一度くらいはあると思います。

 

いわゆる家族ルールとでも言うのでしょうか。昨日までなんの疑いもなくやっていたことなのに・・・・。「そんなことしないよー。○○ちゃんちだけだよww」という、いとも簡単に友人に覆されるアレだ。

 

「家だけだったんだ・・・」という唖然とした気持ちと、親への軽い怒りや怨みが生まれる瞬間。この小説はこれがうんっと重症化したような話なのです。主人公の娘は大人になり、こんな風に言っています。

 

 

 

私が家で遭遇した出来事を打ち明けても伝わらなかった理由は、今はよくわかります。出来事に悲劇がないからです。「怖いはなし」にはヒロインを震えあがらせる継母のビジュアルや、いやがらせがある。ヒロインにふりかかる悲劇があってはじめて、聞く人、見る人の関心を惹きつけるのです。私が遭遇した出来事にはそれがありません。

 

そうは言うけど、彼女の経験したことは結構私には悲劇だと思えたのです。

例えば母親が冗談でもなんでもなく、こんなことを言うのだ。

 

「あんたの鼻、膿がたまってる…」と言って、よくないものを見る人がするように口元に手を当て、眉根を寄せて、私の鼻をじろじろ見ます。母親は妊娠中に鼻の奥にすでに毒キノコが生えていたのかもしれない。遅く出産したからきっと毒が遺伝したんだと言う。実際、母親は結婚前も後も鼻を患ったことはない。

 

なんの意図があってこんなことを子供に言うのか理解不能です。こんな話は序の口で、母親だけでなく父親までもが同じように不可解な人物なものだから救いがない。

 

見覚えのないことで叱られたりもするのですが、両親と出かけたレストランの話なんて本当になにがなんだか?異次元の出来事のようにすら思える。

 

他にも夜に目が覚めたらお母さんが胸を揉んでいたとか、読んでいて非常に気持ちが悪いのです。

 

本書はそんな人に言えなかったという今までの両親の悩みを、文容堂に投稿し、清人さんをはじめその友人等に答えてもらうという形式で話が進みます。本当だったら怨み口調になりそうな話であるにもかかわらず、あくまでも丁寧な語り口調で回想してゆく。

 

文容堂はいつも彼女に寄り添い優しく回答をしています。あらゆる悩みにどう答えてゆくのか読んでいるうちに楽しみになりました。

 

全体的に愛情というものが少しでもこの両親から感じ取れればよかったのですが、それがどこにも見つからなかったのが何よりも残念。しかし、投稿によって聞く耳を持つ人が現われ、今まで両親から受けた仕打ちを、彼女が自分の言葉で話すことが出来て本当に良かったと思う。

 

さて、私はてっきり架空の話だと思っていたのですが、なんと、姫野さんの少女時代の体験に基づいたものだと言うじゃありませんか。はぁ・・・びっくりです。

 

群ようこさんの家の話も相当変わっていたけれど、それとは異なった類の姫野さん一家。作家さんご自身の話に驚かされるということがたまに豪速球でやって来る時がある。