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【レビュー・あらすじ・感想】路地の子:上原善広

 

 

路地の子:上原善広著のレビューです。

路地の子

路地の子

 

 

「金さえあれば差別なんてされへんのや!」- 上原龍造の壮絶な半生

 

上原龍造の息子が父の壮絶な半生を描いたノンフィクション。
大阪の松原市・更池。ここでは多くの人が食肉の仕事に携わり、いわゆる被差別部落とされていた場所ということだ。

 

「金さえあれば差別なんかされへん」という信念ひとつで成り上がって行く龍造の生きざまは、それはそれは壮絶ではあったわけだが、同和問題など、読み手である私の知識不足で複雑な絡みがいま一歩理解できなかった部分も多い。

 

 

 

 

女性関係、ヤクザとの関係、喧嘩と言っても殺し合いになりかねない場面も多く、龍造の生い立ちゆえの気性の粗さなどが怖いくらい描かれている。個人的には、食肉業の仕事というものが、想像を上回るハードさであったことが印象に残っている。

 

本書表紙をよく見てみると、これがものすごい迫力だ。
是非手に取ってみて欲しい。文字で読んだ場面とは比べものにならないほど、この仕事の壮絶さが感じ取れると思う。ちなみにここに写っている人こそが、本書の主人公である上原龍造氏だ。

 

凡人には想像できないほど激しい日々を過ごした男の背中は、思ったほど大きくないのだが、足腰で踏ん張っている姿は、なんとなくこの人の人生そのものように感じてならない。

 

路地の子