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【レビュー】ぼけますから、よろしくお願いします。:信友直子

 

ぼけますから、よろしくお願いします。:信友直子著のレビューです。

ぼけますから、よろしくお願いします。

ぼけますから、よろしくお願いします。

  • 作者:信友 直子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 家族愛、夫婦愛、親子愛、すべてがこの一冊に詰まっている

 

本書の家族は、Mr.サンデーでも取り上げられ、そこから映画化もされたので、ご存じの方も多いのではないかなと思います。私もMr.サンデーで拝見しました。赤裸々に映し出された認知症の母親の姿。それを支える高齢の父親。撮影しているのは娘。そのレポートに言いようのない様々な複雑な気持ち、不安、年を取ることの大変さなどを実感し、言葉を失った。

 

そんな映像とは違ったちょっとライトな感じのする本のタイトルと装丁。しかし、内容はやはり介護で直面した様々な問題点が山積みであり、大変な状況であることには変わりない。

 

ですが、私的に感じたのは、大変であるということ以上に、信友さん一家の各々の「大きな愛情」というものに感銘を受けました。

 

家族が互いに思い合うとはどんなことだろう。

本書は家族がそれぞれの立場で親、子のことを思い合う。それがこんなにも大きくて、温かくて、切なくて、そして何物にも代えがたいものだという事を確認させられ、思わず目頭が熱くなる。そんな場面がいくつもあった。

 

高齢者の両親が、誰の手も借りずに老々介護をする。東京で仕事をしている娘にとってそれは親の介護を放棄しているような罪悪感を持つ。しかし、親は親で、自分たちのことは自分たちでするという信念があり、娘が好きな仕事をすることこそが、親にとって何よりも喜びになっている。

 

この辺の葛藤がなんとも切なく、各々の大きな「愛情」が痛いほど伝わって来る。

 

また、認知症になる前の母親の姿を綴る筆者。どれだけの愛情深く家族を守って来た方なのかとかという事が分かる。今の姿、昔の姿。この落差があまりにも大きくなり過ぎたときに感じる家族の感情とは・・・認めたくない、見たくない。そんな複雑な思いをを正直に綴る信友さん、さぞ勇気を要したことでしょう。

 

 

 

 本書は後半へ行くほど、心に刺さって来る言葉が沢山出てきました。

「介護は、親が命懸けでしてくれる、最後の子育てだ」

 

これは信友さんの映画を観た、介護で親を見送った女性の言葉だそうです。この本を読んでいると、本当にそうだなぁと感じます。

 

私は長期の介護経験はないけれども、親の入院やその介護をここ数年、何度となくやって来て感じたのは、本当に知らないことだらけ、初経験することがこの年になってもたくさんあるものだなぁと。学びの連続なんですよね。いつか自分がこういうことに直面した時に、これらの経験が役立つということ、親に教えられているなって、すごく感じます。そして年を取ってからの生き方等々も。

 

ということで、色々、感じることがたくさんあった一冊。信友さんちは、お父様もお母様も本当に素敵な方です。そして、そんなご両親のもとで育った信友さんも思慮深い素敵な方。紆余曲折、まだまだ大変だと思いますが、信友さん、気持ちはすでに定まっているようです。同じ女性として、一人っ子の娘としても、応援しています!