おまめごとの島:中澤日菜子著のレビューです。
島に着いた途端、はじまるドタバタ感!
中澤さんの作品はデビュー作同様、読みはじめ数ページであっという間に心がざわめいてしまうからから厄介だ。小豆島にやって来たひとりの男が到着するや否や、次々と「訳ありげ」や「なにかやらかしそう」な雰囲気に満ち満ちた人々が次々に登場してくる。島の話だから、のんびりした環境に身をゆだね・・・・なんて展開を期待したら大間違い。
「かしゃん、かしゃん」前掛けのポケットからスマホを取り出し、震える指先で
写メを撮る老婆の登場が象徴しているように、休んでいる暇はない。脇役である老婆までもが、いい感じで登場してくる。
東京からやってきた30代イケメン主人公・秋彦。親友の経営するホテルに勤務することになっている。彼も「訳あり」の人物の一人なのだが、それに絡まるようにドタバタと繋がってゆく人々。
一番大きな変化は、別れた妻との間の娘が島にやってくることによって、さらに彼の活が生活が変化する。様々な問題に巻き込まれては疲れ果て、全てを投げ出して逃げ出そうとしても、逃れきれないものの先にあるものは何か?
離れ離れになった家族でも、「記憶」といっしょに
温めかえすことでまたたくまに関係を取り戻すことができる。
「共通の記憶」がある限り、家族って温めかえすことができるのだ。そんなことに気づかされ、明日がぼんやり見えてくる。
2冊目から中澤さんのテーマがほんのり見えてくる
家族の絆、他人との絆。このあたりが中澤さんの根底にあるテーマなのでしょうか。最後に来てようやく落ち着いた雰囲気に包まれホッとしながらも、脇役だったあの写メのメルマガばばあの存在が気になって仕方がない。
そう、小説は終わっても、わたしの中で、島に着いたときの
あのザワメキがまだ続いている。
※講談社さんからのプルーフ本をいただき 発売より少し前に読ませていただきました(感謝)





