ちょいな人々:荻原浩著のレビューです。
あなたのまわりにもきっといる。ちょいな人々
会社で若い女性にファッションを褒められて、ガラスに映る自分の姿を「まんざらでもない」と一人ニヤニヤしたことはないか?
彼氏や夫が、なんだか父親に似ているなぁーと、気付いた時のちょっとした衝撃を覚えたことはないだろうか?
隣の家の木の枝がニョキニョキ我が家に侵入してきて、異常に境界線が気になって仕方がないという経験はないだろうか?
占い師に占ってもらい「当たってるーなんでなんで?怖い」と、無防備に呟いてしまったことはないだろうか?
本書は「ちょいちょい」遭遇うするちっちゃい出来事が、面白おかしく描かれています。短編7編。
なかには、ペットの気持ちがわかる犬猫翻訳機なんてものが登場。
こういう機械はやめておけばいいのに、つい作ってしまいたくなるのが人間で、それをウキウキ気分で使ってしまう飼い主たち。しかし、ペットたちの本音は…。
この話を読んでから、いかにも大事にされていそうなフリフリ服を着ているワンちゃんを見かけると「この子の本音は…」と、ついつい考えてしまい、薄ら笑いしている自分がいました。
また、「カジュアルデー」とか「クールビズ」とか、普段スーツばかり着ている男性たちにとって服装の変化対応は大変そう。おじさんが若い女性の一言に翻弄される表題作の「ちょいな人々」は、身近に居る人そのものの話だったので、笑っていいのか悪いのか微妙な気分に(笑)
とにもかくにも、いろいろなパターンで楽しませてくれた1冊でした。
装丁は益田ミリさん。内容と絵が程よいバランスで、日常感あふれる感じが伝わってきます。