かわいい見聞録:益田ミリ著のレビューです。
世界は「かわいい」が溢れている
とにかく日本人は「かわいい」が好き。外国人に日本人女性のものまねをさせると「わぁーかわいいー」と言いながら体を揺らす。....なんて現場をよく目撃したものです。それだけ私たちがよく使っているであろう「かわいい」。
じゃ、どんなものがかわいいのかって、これはもう取り上げたらキリがない。赤ちゃんを見てもかわいい。小さい動物を見てもかわいい。おじいちゃんを見てもかわいい。かわいいは街じゅうに溢れかえっているのです。そんなかわいいを絞り込んでエッセイにしたミリさん。文章を書くより、その選抜の方が難しかったのではないでしょうか。
本書は「これかわいいね」と、ただ単にかわいいものの考察すると言った感じではなく、そのかわいさの源泉はどこにあるのか?ミリさんが探ってくれている。雑学的な本としても楽しめます。
では、どのようなものを取り上げているかです。それがね、「あーそれかぁ!そう来たか!」って、意外なものが登場するのです。
例えば、「あやとり」。まさかあやとりが登場するとは思っても見ませんでした。しかも、「あやとり」は、あやとりをしている人のかわいさに焦点を当てています。
うつむいて、両手にヒモをもしゃもしゃからめている。猫が風に舞う落ち葉を追いかけて遊んでいるような、そんな初々しさがある。
なるほど、そこに注目ですか!確かに、あやとりしている姿は、ほっこりした雰囲気そのものでかわいいです。また、ミリさんは、完成した技を見てもらいために歩く子供の姿までもかわいいと(笑)
そして「あやとり」の語源や、世界のあやとり事情などを調べ、わたしたちに教えてくれます。もちろん、ミリさんのかわいいイラスト入りです。
他にも「毛玉」などが登場!毛玉って!って思わず笑ってしまいましたが、かわいいと言われればかわいい。厄介なものではあるけれどもね。
こんな具合で読みながら「次はどんなものが登場するのかな」と楽しくなっていきました。それと同時に、「かわいい」は底なし、あらゆる場所に生息しているものなのだぁと。改めて世界は「かわいい」で溢れていると感じずにはいられな一冊でした。