ウチの江戸美人:いずみ朔庵著のレビューです。
☞読書ポイント
家に帰って来たら、江戸時代の女性がいたら?
ちょっと想像すると怖いかも....でも、江戸時代は自分にとってとても興味深い時代のひとつ。あれこれ聞きたいことがいっぱいある。と、考えると江戸の人との生活は結構楽しいかもしれない。そんな「もし」を描いた本書。
ポーラ文化研究所のサイトで連載されていたものが好評だったとのことで、一冊の本になったそうです。江戸時代からやってきた「江戸美人ちゃん」と、独身会社員の「現代女子ちゃん」。この二人が一緒の部屋に住み、毎日時代間のギャップに驚いたり、関心を持ったりしながら交流を深めていく。
簪をさした頭に着物で過ごす江戸美人ちゃん、もう一方は現代OLの洋服姿。同じ部屋で生活する二人の様子はビジュアルだけでも十分奇妙な感じがするが、彼女たちの会話は互いにズレまくっている分、クスリと笑える穏やかさがある。ゴロゴロしたり、お化粧をしてあげたり、されたりしながら、当時の女性たちの生活を覗く。
「美容」に関することは時代は違っても女子の関心度は高い。今みたいに美容関係に恵まれていなかっただろう江戸時代。そんな中、女性たちはどんな工夫をしていたのか?なかなか興味深い話が全53も登場する。
例えば、「飾り櫛」の章では、江戸時代のプロポーズについて触れられている。
「<苦>労も多いが<死>ぬまで添い遂げよう」という意味で、男性が女性にプロポーズの時に贈る習慣があったそうです。今でいう「指輪」ですよね。飾り櫛が男女の大切な場面で使われていたとは...知りませんでした。「結婚しよう」って言いながら、頭に櫛をさしてあげちゃうのかしら~~♡
それにしても、やっぱり江戸時代はいいよなぁ~。もしタイムスリップするとしたら、真っ先に江戸時代を選びたいと思っているわたし。本書を読んで、江戸時代の女性たちと現代女性は共通する部分もあり、仲良くできそうな気がしてきました。
まだまだお話は続きそう。この二人の同居生活がずっと続いてくれるといいなぁ~。でも、そうはいかなさそうな気配もチラホラ。でもでも、続編を待とうではありませんか。
読後になんとなくふわふわした感じ残ったのは、このふたりのイラスト、目も鼻も口もなかったからなのか。敢えて描かないことによってちょっと不思議な世界を演出されているんじゃないかと。ほんと、不思議な読み心地でした。
【つなぐ本】本は本をつれて来る
ひょっとしたら、2050年は江戸時代に逆戻りするかも?ちょっと笑えないお話です。