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【レビュー】2050年は江戸時代―衝撃のシミュレーション:石川英輔

 

 

2050年は江戸時代―衝撃のシミュレーション:石川英輔著のレビューです。

2050年は江戸時代―衝撃のシミュレーション (講談社文庫)

2050年は江戸時代―衝撃のシミュレーション (講談社文庫)

 

 

 

これは、笑えないシミュレーション!こんな日がいつ訪れてもおかしくない。

 

サブタイトル通り衝撃のシミュレーション。面白かったとともに、ちょっと笑えないなーと、読みながら色々なことを考えさせられました。

 

2050年。その時の、日本は一体どうなっているのか?
この小説は2050年の日本から、現在私達が暮らしている時代を、老人たちの話を通して振り返るもの。

 

この老人たちというのがつまり私達世代の人々になるわけです。私達のいるこの時代は「東京時代」と呼ばれ、どのように「大刷新時代」に移っていったのかが語られる。

 

老人たちの話は面白いです。なにせ私たちが経験したり、見たりしてきたことが、昔話として登場するわけですから「そうそう」といった具合で、まるで自分が老人になった感覚、なんかヤミツキになりそうでした。


「大刷新時代」以降、自給自足、農業中心の生活になり、一日三時間半働けば暮らせる晴耕雨読の生活。人口も減り食生活も質素になったことから成人病が減るなど、シンプルな生活だけどメリットも多く、人々は返って幸せそうに映る。

 

それゆえに、今、私達が暮らしている便利な生活の異常さが浮き立って来る。なかには「東京時代は良かったよ」という老人が出て来るのだが、「そんなことのどこがいいのだろう?」と、若者たちは思うのである。

 

この話にも出て来るヒートアイランド。夜になっても気温が下がらず30℃…。そんな異常さを新しい時代の人たちはびっくりしているのですが私はまさにそのど真ん中の寝苦しい夜にこの本を読んでいた。もうこの状態が普通になりつつある現在。いやいや、いつまでもこのままにしておけない問題も山ほどある。

 

震災後、私達は今までの生活がいかに便利でなんの不自由もなく生活してきたことを思い知った。そして、過剰すぎる部分を見直そうと試みている。これからどこまで改善できるのか。

 

現代が時代小説になった?という、なんだかとっても不思議な世界を見てきた感じです。