Web Analytics Made Easy - StatCounter

うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gog:原田マハ

 

 

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gog:原田マハ著のレビューです。

☞読書ポイント 

ゴッホに憧れた棟方志功が「世界のムナカタ」になるまでを描いた小説。成功した人物には何が備わっていたのか。何かに取り組む上での必要なことが棟方には詰まっている。本作は棟方の作品を知るのはもちろん、彼のチャーミングな人柄に虜になる一冊とも言えます。

 

 

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh (幻冬舎単行本)

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh (幻冬舎単行本)

 

感想・あらすじ 

 

まず思ったのが、この小説を読んだら必ず「棟方志功」が好きになると思うのです。とにかく棟方氏のキャラクターが私には目の離せない愛らしい人物に映りました。そして、棟方氏と同じくらい魅力があるのはその妻・チヤ。

 

運命的に知り合い、結婚、そして家族。結婚当初の苦労はあったものの、おおむね彼らの結婚生活は深い愛情に包まれていた。読んでいて何度も温かい気持ちにさせられました。それだけ今回のマハさんのアート小説は、アートだけでなく、棟方氏の人間味ある場面が魅力的だったように思えます。

 

 

 

 

幼少期の貧困、目が不自由だったり、アート界での版画の評価が低いなど、その時々の苦労はあったものの、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らに見初められたあたりから、うなぎ登り的に生活も仕事も向上する。そんな様子見ているとサクセスストーリーであることも解る。

 

何故、彼が「世界の棟方」と呼ばれるようになったのか?成功者にあるものは「運」とか「タイミング」「出会い」なんかがよく言われますが、棟方氏を見ているとまさにそういう事柄をきっちり掴んでいっているように思えます。また、それらを掴むことに必要なことも。決して驕らず、謙虚な気持ちを持ち続けること、努力し続けること、素直で変な拘りもなく、常に前を向いている。成功する上で大切なことを彼は自然にやっている。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/u/uzumaki-guruguru/20240527/20240527062715.png

 

また棟方氏は、その時々で何を今一番しなければならないことなのか?ということが良く判っている人だなぁ~って感じました。戦争で疎開先に持って行きたかっただろう大切な版木を東京に置いていったという話も印象的。この話はまだ先がある。妻がその版木を命からがら取りに帰るという。棟方の覚悟、妻の覚悟、どちらも到底真似ができない行動だ。

 

そして、この時なかなか東京から戻って来ない妻を想う棟方の姿がなんとも愛らしい。妻に「愛している」と言葉にすることはなくとも、その行動から笑ってしまうくらい奥さんのことが好きなんだなぁーってことが一目でわかるシーンがとても良い。この分かりやすさに思わずクスクスと笑ってしまうのだけど、ちょっと泣けるんです。

 

 

 

 

感想はなんだか棟方の人物像に焦点が当たってしまいましたが、彼の作品についてもしっかり勉強になりました。民藝運動で有名な柳宗悦氏らとも、こんなきっかけで繋がって行ったのかというのも興味深いですし、駒場にある日本民藝館と棟方氏の関係性もよく解りました。ちなみに同著の」「リーチ先生」を読んですぐに日本民藝館に行ったことを思い出しましたが、また行きたくなっちゃいました。

 

棟方氏の憧れのゴッホ、民藝の柳宗悦たち等々、今回感じたのは、マハさんの作品を読み続けることによって、芸術家たちの繋がりが少しずつ見えてくる感じがすごく楽しかったです。読んでいなかったら「あぁ!あの人ね」「あの作品ね」って、瞬時に思い浮かべることは出来なかっただろう。そういう意味でも、素人にとってアート小説の力は大きいなと感じます。

 

ということで、棟方志功はキュートです(笑)そして毎晩、棟方のために墨をすって支えていた妻もまた素晴らしい存在。作品と同じくらい棟方氏の家族も良いな~って心から思わせてくれました。今だったら「いい夫婦の日」にベストカップルとして選ばれてもいい感じです。

 

読み終わって棟方氏のこれ以上ないという笑顔の写真を見て、こちらまでも思わず笑顔に。棟方さんはそんな人なんだな。

 

著者プロフィール

1962年東京生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞し、デビュー。12年『楽園のカンヴァス』(新潮社)で山本周五郎賞受賞。17年『リーチ先生』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。著書に『暗幕のゲルニカ』『サロメ』『たゆたえども沈まず』『美しき愚かものたちのタブロー』『風神雷神 Juppiter, Aeolus』『〈あの絵〉のまえで』『リボルバー』など。(Amazonより)

合わせておすすめ

これらの作品を読んでおくと、より一層、今回の作品が面白いものになりますよ!

 

audible