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【レビュー】こども東北学 (よりみちパン!セ): 山内明美

 

こども東北学 (よりみちパン!セ): 山内明美著のレビューです。

こども東北学 (よりみちパン!セ)

こども東北学 (よりみちパン!セ)

 

 

 

◆東北の今に近い歴史をコンパクトに密度濃く紹介

 

 

この本はネットで知ったのですが、「こども」というタイトルから
子供に読まれているのかと思いきや、書評などで大人たちが
読んで絶賛していることで関心を持ちました。

 

150ページあまり、字も大きく、あっという間に読み終わるが、
ページ以上にたくさんのメッセ―ジを私達に
残してくれる素晴らしい1冊でありました。

 

山内さんは、宮城県南三陸町生まれ。慶応義塾大学を経て、
現在は一橋大学大学院言語社会研究科に在籍。

 

「東北学」…山内さんがいう東北学とは
「まん中じゃないところにも目を向けてみよう」という意味が含まれている。

 

狐に化かされたおじいちゃん。
晩年、明らかにアルコール中毒だった祖父の
戦争体験がもたらしたその後の様子と、そして村の狐との関係は一体…?

 

山内さんに与えられた「さんかく田んぼ」の思い出。
夕方5時に寝る川釣り名人の友達の学業・進学にまつわる話。

 

「おい」「おら」「おれ」と呼んでいた作者が、東京に暮らすように
なってから急に「わたし」と自称し、いまだに、ぎこちなさと、
いちいちつっかえてしまうというエピソードなど、
親しい友達の話を聞く感覚で夢中で読んでいる自分に出会う。

 

兼業農家だった山内さんの家庭。それゆえに、安定した農業をやっていく
ことがいかに難しいのか、そこも読みごたえありです。

 

1993年の東北地方で大凶作があった。
「時代が時代だったら、餓死者がいっぱい出て、村も全滅だっただろう」と
村のおじいちゃん、おばあちゃん達が言う。
「娘身売りになったかもね~」なんて話も出てきた。

 

…というように、あまり堅苦しくなく、色々な話がポンポン紹介されているが、
そこには、都会との格差、農家の厳しさ、歴史、教育、天災、
そして、今、起きている土と海の汚染についてなど、ズンズン心に
入ってくる内容ばかりであった。

 

徐々に話が膨らんだり、飛んだりする様はグーグルアースを
広げたり縮めたりして眺めているような感覚でした。

 

100年後、東北に暮らす人々へ、熱い思いがたくさん込められた1冊。
東北、農業、村の生活…あまり聞く機会がない現状に生きている私達。
大人も、子供も一度は目を通しておくとよい本です。