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【レビュー・あらすじ・感想】こども東北学 (よりみちパン!セ): 山内明美

 

 

こども東北学 (よりみちパン!セ): 山内明美著のレビューです。

こども東北学 (よりみちパン!セ)

こども東北学 (よりみちパン!セ)

 

 

感想:東北の今に近い歴史をコンパクトに密度濃く紹介

 

この本はネットで知ったのですが、「こども」というタイトルから子供に読まれているのかと思いきや、書評などで大人たちが読んで絶賛していることで関心を持ちました。

 

150ページあまり、字も大きく、あっという間に読み終わるが、ページ以上にたくさんのメッセ―ジを私達に残してくれる素晴らしい1冊でありました。

 

山内さんは、宮城県南三陸町生まれ。慶応義塾大学を経て、現在は一橋大学大学院言語社会研究科に在籍。

 

「東北学」…山内さんがいう東北学とは「まん中じゃないところにも目を向けてみよう」という意味が含まれている。

 

狐に化かされたおじいちゃん。晩年、明らかにアルコール中毒だった祖父の戦争体験がもたらしたその後の様子と、そして村の狐との関係は一体…?

 

山内さんに与えられた「さんかく田んぼ」の思い出。夕方5時に寝る川釣り名人の友達の学業・進学にまつわる話。

 

「おい」「おら」「おれ」と呼んでいた作者が、東京に暮らすようになってから急に「わたし」と自称し、いまだに、ぎこちなさと、いちいちつっかえてしまうというエピソードなど、親しい友達の話を聞く感覚で夢中で読んでいる自分に出会う。

 

 

 

兼業農家だった山内さんの家庭。それゆえに、安定した農業をやっていくことがいかに難しいのか、そこも読みごたえありです。

 

1993年の東北地方で大凶作があった。「時代が時代だったら、餓死者がいっぱい出て、村も全滅だっただろう」と村のおじいちゃん、おばあちゃん達が言う。「娘身売りになったかもね~」なんて話も出てきた。

 

…というように、あまり堅苦しくなく、色々な話がポンポン紹介されているが、そこには、都会との格差、農家の厳しさ、歴史、教育、天災、そして、今、起きている土と海の汚染についてなど、ズンズン心に入ってくる内容ばかりであった。

 

徐々に話が膨らんだり、飛んだりする様はグーグルアースを広げたり縮めたりして眺めているような感覚でした。

 

100年後、東北に暮らす人々へ、熱い思いがたくさん込められた1冊。東北、農業、村の生活…あまり聞く機会がない現状に生きている私達。大人も、子供も一度は目を通しておくとよい本です。